ある日の晩のことでした
ちゃろあむ
第1話 予兆
「やっぱり やめようよぉ!!」
そんなことを言いながら私の腕に巻き付く女の子の名前は 笠無 友里愛 (かさなし ゆりあ)
ツインテールが世界一似合う可愛い女の子
乗り気じゃないのに私を誘ったのか
ほんとに笑える。
「幽霊とか 笑 ばかじゃないの?いるわけないでしょ…そんなの」
怖がる友里愛を見ながら呆れて笑うこっちの女の子は 波城 雫 (なみしろ しずく)
いわゆるクラスの母であり、万事救急グッズを持っているほど過保護。
そして、私は 江南 まき (えなみ まき)
平凡な高校生をしている。
「おっ!!こっち!」
こっちを見ながら手を振る男が2名。
その中でも一際目立つ明るい性格のムードメーカーである 高橋 優 (たかはし ゆう)は怖がる様子は無さそう。
俺が引っ張って行くと言わんばかりに大きく手を振っている。どんどん彼たちに近づいて行くともう1人の男の子が手を差し出した。
「友里愛!そんなにしがみついたらまきが歩きにくいだろ〜」
友里愛はさっきまで嫌と嘆いていたが彼を見ると嬉しそうに私の手から離れて 川栄 竜太 (かわえ りゅうた)の手をぎゅっと握った。2人はお似合いなカップル。まだ付き合いたてで熱々な2人。
こっちまで火傷しそう。
そ・し・て…はしゃぐ2人を横目にライトの確認をしている彼は 陸奥 達也 (むつ たつや)
ひっそり私が恋してる相手。
「よし、いけるぞ」
ライトの確認が終わって立ち上がる達也に1人ずつ眩しく光を放つライトを受け取っていく。
その時…
「ぁああああぁあああああぁあぁああ」
この世のものとは思えないほど大きい叫び声にビクッと体を震わせる。
さっきライトの確認をしたというのに私のライトだけが消えてしまって、何度も カチッ カチッ
ON…ON ボタンを押すがそれも無駄で付かなくなってしまったようだ。
声だけでなく、怪奇現象が起きたことにみんなが静まってしまい冷たい空気が漂う。
「他にも肝試しに来てるやつがいるんだなぁ!!」
そんな静まってるみんなを明るい声で照らすように優が声を張り上げる。こういう雰囲気になった時は脳天気な彼が今は凄く助かる。きっと、彼がいなかったらお開きだった、絶対。
内心、怖くて引き返したかった。が、1人で引き返すのはもっと怖かった、だから誰かが足を進めるのを待つことにして。
「じゃあ行くぞぉ!!おー!」
手を上げて、先頭を歩く優に苦笑いしつつ、後にみんなぞろぞろと続いていく。
今思えば、最初の叫び声は"引き返せ"という忠告だったのかもしれない。
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