第22話 現場検証は念入りに

 

 中学生になったらもう大人かと言えば、いやいやそうでもない。

 中学3年の頃、体育館のワックスに滑って腕を骨折したクラスメイトがいた

 その "悲劇" の直後、暇だったので体育館の入り口の床にチョークで人が倒れているような形を描いた。刑事ドラマで鑑識が描くような人型だ。

 しばらくして下級生が通りかかると口々に言った「ここで倒れて、骨折したんだね」「そうなんだね」「ここなんだね」


 そんなわけはない。殺人事件じゃあるまいし、何故こけた奴の体の位置をチョークで示すのだ

 きっと全校的に、怪我した人がいるので、体育館のワックスには気を付けろと言う注意喚起がいったのであろう

 中学生にしてこの程度である。私も中学生ながら、「それを信じるのか・・・」と思っていた

 そもそも、何故、チョークでそんなことをしたのか。自分自身への疑問はなかった。それこそが子供なのだ


 

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