第19話 奇行の原点
物質と行動が絡み付いたこだわりがある
天気の良い日の夕方、薄暗くなると川の土手の道に、クロックスを履いた男が走り込んでくる。その男は400mだけ走るとウォーキングをして何処かに去って行く
その男は私だ
奇行には原因がある
なぜクロックスを履いているかと言うと、通常のジョギングシューズだと速く走ろうという意識が過ぎて、足首を酷使する走法になってしまうのだ。
その結末として、ふくらはぎを痛めてしまう。
私の理想とする走りは、走り高跳びのアスリートがする助走のような走り。もも上げのように大きなストライドで優雅に走りたいのだ。
クロックスを履くと、足首で推進力を得ることができない。そのようにすると抜げてしまうからだ。そして自然に私の思う理想に近い走り方となる
想像してほしい。クロックスで、猛ダッシュしている男がいる。逃げたくなるだろう。でも、幸い短い距離だからか、薄暗いからか、トラブルは無い。事なきを得ている
では何故、400mしか走らないのか。それはティーンエイジャーの時代にまで遡る
こだわりには歴史があるのだ
私は中学生の時に200mと400mの陸上の試合に出たことがある。200mはまぁすぐ終わる。そして400m走。これはラスボスに立ち向かう以上の困難だった。何しろ周りは強者で速い、ついつい最初から全力で飛ばしてしまう。最後はもう低血糖・低酸素
結果は惨敗だ
中学生の私は死ぬかと思った
高校時代の砂浜5km走と比べても400m走だけはやりたくない。だから今になってリベンジするのだ。負けっぱなしではだめ。そんな深層心理がある
もっと長い距離を走った方が運動になるのではないかと思う方もおられると思います。しかし、私は長く走るのは時間の無駄だと思っている
マラソンを趣味にしている人に、そんな長く走って体に悪いのではとか、時間がもったいないと、ついつい心の内を言ってしまうことがある。これを言うと"マラソンの王子様" は明らかに怒りを感じているのがわかる。気をつけねば
あの時、400m走の辛さを知った
400m走はプロのアスリートでもかなり苦しそうだ。トラック競技で倒れる人はほとんどいないが400m走はたまにいる。それだけ400走は厳しい
400m以上走る必要なんかない
そして、夕方のランニングが大いに役立っている
高校時代の部活が終わった時、二度とやらないと誓った柔道が生涯スポーツになりかけている。400m走は確実に裏付けの基礎体力となっている
そして、右足のクロックスのソールのど真ん中に穴が空いた
クロックスに穴が開くまでで走る人。きっと日本にはそんなには居ないと思う
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