TSFと社会

葵流星

TSFと社会

「よう!」


それは、いつも通りの日々を過ごしていた。

ただ、それまでだった。


「なおや?」

「ああ、おひさー。」

「…。」


パタンっ


俺は、一気に血の気が引き、卒倒し保健室に運ばれた。

なんでって?


そりゃあ、親友がいきなり女になったら、倒れるに決まっているだろう。

それが、少なくとも普通のはずだ。

もっとも、多くの作品においては驚くのみに留まり質問攻めに至る。


「たけるー!」


親友だった彼…彼女が俺を持ち上げる。

なんかやわらくて大きな胸が当たり、嬉しいが嬉しくない。

とある下ネタがある。


『上の玉が反転し、胸に実る』


さて、そういう意味だ。


では、俺が混乱している間に世界について話そう。


今から、20年ほど前に人類の特に男性において、女性への転化が見られた。

これにより、イスラム教は性の別離が不成立になり、女性となった男性を殺し続けるも新たに女性となった男性が増えるため教義が致命的なまでにダメージを受け、崩壊した。


そして、LGBTQも崩壊した。

同性愛のパートナー、ようは男性が女性になるので、広義としては存在するが、意味はなさくなってきた。

さしずめ、異性愛者ではなかったからだ。


そして、女性達との対立…。

これは、まだ続いている。

変な話、上位互換…いやっ、実に都合の良い彼女になれるからだ。

クーデレとか、ショートカットの女性が好きな俺には大変嘆かわしい限りなのだが、つまりは、彼女らは負けたのだ。


恋に…


「あー、マジかよ。」

「大丈夫?」

「はい、しばらく休みたいです。」

「そうですね、仕方ないですよね。」


保健室の先生(元男)が、俺に優しく声をかけた。


先生は一瞬で理解したのだろう。


この女体化現象は、TSF症候群とされるが、実体は跳躍電子反転現象と言われている。

ようは、原子核の電子レベルの話らしい。

そして、もう治らない。

妊娠できるし、年齢はだいたい20代前半まで、観測されたものは80代でいきなり女性に若返ったものの疾患により死亡している。


「なおや君は友達?」

「友達ですよ。」

「そう…これから、仲よくできそう?」

「わかりません。」

「…そうね。」


がしゃっ


「たける、大丈夫か?」


女性の声が聞こえるが、なおやである。

連れしょんとかしてた、なおやである。


(彼女、作っとけば良かった。)


男の娘は妊娠するが完全に拒否され、良男女

→新しい漢字


が、妊娠する。


そして、多くの場合、親友が結婚することになってしまうので…。


「…。」


俺は泣いた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

TSFと社会 葵流星 @AoiRyusei

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ