新たなる試練

第17話「心を取り戻せ」

魔王ディアボロスは魔剣士グールを洗脳しクロスセイバーとパラディンオブナイトに襲い掛かるが、グールの正体を知っているクロスセイバーはまともに戦えない。

だが、グールの攻撃はクロスセイバーを容赦なく斬り裂いた。

「ぐわぁぁぁぁっ!?」

「クロスセイバー!!」

パラディンオブナイトが叫ぶ。

クロスセイバーはそのまま膝から崩れ落ち倒れた。

「そんな……オビト……」

セイラはあまりのショックに手で口を塞ぐ。

「クソッ……グール……お前の正体が本当にオーヴェルさんなら……この程度で死なないと信じるぞ……」

パラディンオブナイトは『金の腕輪』の力でロイヤルナイトに進化。

必殺技『ロイヤルブレイク』でグールを攻撃。

「ぐわっ!?」

この攻撃でグールの仮面が破損。

素顔が露わになった。

その素顔は紛れもなくオーヴェルだった。

「ウソッ……本当に……お師匠様……?」

セイラもショックを受ける。

「あれが……オビトとセイラちゃんの師匠……」

「ぐっ……俺は……今まで一体何を……?」

「お師匠様!!」

「セイラ?セイラか?」

「はい!」

「チッ、仮面が破損して洗脳が解けたか……」

ディアボロスはグールを連れて去って行く。

「お師匠様ー!!」

「セイラちゃん、今はオビトの手当てが先だよ」

寛太に促されセイラはクロスセイバーの元へ。

「オビト……待ってて……」

セイラはクロスセイバーに回復魔法を掛ける。

「ぐっ……あっ……助かったぜ……セイラ……」

「うん……ねぇ、オビト……グールの正体知ってたの?」

「ああ……ずっと話そうと思ってたんだけど、タイミングを逃しててな……」

「そっか……昨日からそれを話そうとしてくれてたんだね……」

そこにクロガネもやって来る。

「オビト、いつ知ったんだ?グールの正体がオーヴェルさんだと……」

「昨日、ドラゴニルと戦ってる時だよ……ギレースがグールを襲ってて途中で乱入して来たんだ。それで

ギレースの攻撃でグールの仮面が剥がれたらお師匠様の顔だった……」

「なるほど……さっきの攻撃でも仮面が破損したと言う事はその時の攻撃で仮面が脆くなっていたのかもな……」

「とにかく帰ろうよ。奴らももう居ないし」

「そうだな……」


オビト達は帰って行く。


魔王城に戻ったディアボロスはグールの仮面を修復していた。

「くっ……貴様……また私に闇の鎧を……」

「ああ、貴様は洗脳し直しだ……」

そこへギレースがやって来る。

「ディアボロス様!どうゆう事です!?グールは私の標的です」

「ギレースか……グールの正体がオーヴェルだと分かった以上俺にも考えがある。冥王剣はその後貴様にくれてやる」

そして、ディアボロスはオーヴェルに……いや、グールに再び洗脳を施す。

「やめろ……やめろ!!ぐわぁぁぁぁっ!?」


家に戻ったオビト達は……。

「……」

「……」

「……ねぇ、これからどうするの?」

沈黙の空気に耐えられなくなった寛太がオビトとセイラに尋ねる。

「んなこと!!……分かんねぇよ……」

「どうしたらお師匠様を取り戻せるのか……でも、生きてたんだ……」

「ああ……」

「どうゆう事?」

「お師匠様はある日俺達を置いてどっかに消えちまったんだ……てっきり魔王軍にやられて死んだと思ってたんだけど……」

「そう……だったんだ……」

そして、オビトは語りだした。

それはオビトがクロスセイバーとして戦い始める少し前の話……。

その頃、オビトはクロスセイバーとして戦える様に剣術を、セイラはオビトをサポート出来る様に魔法をそれぞれオーヴェルに教わっていた。


しかし、そんなある日オーヴェルは、少し旅に出ると言って2人の元を去った。

それから帰ってくる事はなく、2人はその後もオーヴェルの帰りを待ち続けて修行に励んでいた。


「そっか、オビト達と師匠の間にそんな事が……」

「オーヴェルさんは……恐らくお前らの修行の完成を予見していたんだな。でないと修行の途中で弟子を置いて行く様な真似をする無責任な人じゃない」

「きっと、オーヴェルさんを取り戻す方法はあるよ。さっ、折角セイラちゃんが作ってくれたんだからご飯にしよ!」

「そうね……そうよね!今日は頑張って作ったんだから食べてよね!」

「ああ、だな」

「クロガネさんも食べて行くでしょ?」

「ああ、ご馳走になるよ」

4人は気を取り直して夕食にする。


夕食を終えるとセイラは魔導書を読み漁っていた。

「セイラちゃん、何してるの?」

寛太が尋ねる。

「うん……何かお師匠様を助ける為に有効な魔法が無いか調べてるの」

「そうか……」

「オビトは?」

「クロガネさんと剣術の稽古をするって外に行ったよ」

「そう……」


その頃、オビトとクロガネは公園で剣術の稽古をしていた。

オビトがクロガネに攻撃を仕掛ける。

「うりゃぁぁぁっ!!」

「甘い!攻撃が単調でどこから打って来るか丸わかりだ!脇も甘い!足元にも気を抜くな!」

「ぐっ……流石王国最強の騎士……厳しいな……」

「フンッ、お前らの兄弟子だと言う事も忘れるなよ」

「へっ、もう1本行くぜ!!」

「来い!」

だが……。

オビトの身体に激痛が走った。

「ぐあっ!?」

「オビト!大丈夫か?」

「ああ……この位……」

「セイラの回復魔法を受けたと言うのにまだダメージが……」

そして翌日、ディアボロスに洗脳されたグールはいきなり街の人々を襲い始めた。


急いで現場に向かうオビト達。

「お師匠様!やめてくれ!!」

「来たかクロスセイバー……さぁ、俺と戦え……」

「くっ……あくまで戦う気なのか……」

「グールが人を襲うなんて……やっぱり洗脳されてるね……前はオビトに戦いは挑んでも他の人に危害を加える事は無かったもん……」

「オビト、どうやらオーヴェルさんはお前との一騎打ちがお望みの様だ……お前が戦ってオーヴェルさんの心を取り戻してやれ!」

「クロガネさん……分かりました。やってみます」

オビトは歩き出しグールの前に立つ。


「さぁ、変身しろ」

「お師匠様……俺は……必ず勝ちます!」

オビトは『変身』

クロスセイバーが登場。

2本の『クロスブレイカー』を構える。

そして、グールも『冥王剣−デスギャリバー』を構える。

「行くぜ!!」

クロスセイバーが攻撃を仕掛ける。

グールも応戦。

互いの剣が打つかり合い激しく火花を散らす。

クロスセイバーは今度こそ全力で戦う為、怒涛の攻撃を仕掛ける。

だが、グールもクロスセイバーの二刀流を相手に全て対応している。

「くっ……流石お師匠様……そう簡単に攻撃を通してくれないな……」

「フンッ」

グールはクロスセイバーの左腕を捕らえ『クロスブレイカー』を1本叩き落とす。

「ぐあっ!?しまっ……」

隙かさずグールはクロスセイバーに斬り掛かる。

「ぐわっ!?」

デスギャリバーの直撃を受けたクロスセイバーは倒れ込む。

「クロスセイバー!!」

「クソッ……どうすれば……どうすればいいんだ……」

グールの攻撃は更にクロスセイバーを追い詰める。

必死に攻撃をかわすクロスセイバー。

「くっ……しぶとい奴だ……」

クロスセイバーは何とかもう1本の『クロスブレイカー』で反撃。

しかし、その攻撃も受け止められてしまう。

「ヤバっ!?」

そして、グールは『冥王剣−デスギャリバー』でクロスセイバーを腹を貫く。

「ぐわぁぁぉぉっ!?」

「オビトー!!」

セイラが叫ぶ。

だが、まだクロスセイバーは倒れなかった。

「まだ……まだー!!」

クロスセイバーはグールの顔面を殴り飛ばした。

「ぐっ!?」

クロスセイバーの思わぬ反撃に流石のグールもよろける。

そしてなんと、この一撃でグールの仮面は完全に砕けた。

仮面が完全に破壊された事でオーヴェルの意識が戻った。

「こ……ここは……?私は一体!?」

「お師匠……様……良かっ……た……」

クロスセイバーは倒れ、変身が解除された。

「オビト?オビトか!?」

オーヴェルがオビトに駆け寄る。

「オビト!しっかりしろ!オビト!!すまない……私のせいで……」

そして、セイラとクロガネ、寛太も駆け寄って来る。

「お師匠様ー!!」

「セイラ?セイラか?」

「はい!!」

「それにクロガネ……」

「オーヴェルさん……意識が完全に戻ったんですね!」

「ああ……だが、オビトが……」

「大丈夫……今、回復魔法で……」

セイラの回復魔法でオビトの傷を手当て。

しかし、今回は傷が深く回復するまで時間が掛かる。

「ダメ……全然傷が塞がらない……」

「すまん……私に魔力が残っていればオビトを回復させてやれるんだが……」

だが、そんな時間を与えず魔王軍は攻めて来た。

ギレースがゴルムドを引き連れ冥王剣−デスギャリバーを奪いに来たのだ。


「フッフッフッ……グール……いよいよ貴様の最後の時だ」


続く……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る