クロスセイバー
山ピー
異世界から来たヒーロー
第1話「世界を超えて」
暗い廊下をただひたすら走る者が居た。
松明だけが微かに道を照らしている狭い廊下だ。
それを走るのは剣士と魔法使いの二人組み。
走り続けると前から数体のモンスター達が襲い掛かって来た。
魔獣人それがこのモンスター達の総称だ。
「邪魔だどけー!!」
剣士は『変身』
クロスセイバーとなった。
クロスセイバーは魔獣人を斬り倒して行く。
そして、広い部屋に出た。
「クロスセイバー、待ってよ!」
後から追い掛けて来るのは魔法使いの少女セイラ。
「遅せぇぞセイラ!」
「何言ってんの!方向音痴のクセに先に行かないでよ!1本道だったから良かったものの……」
「なっ!?それを言うな!」
2人が言い争いをしていると低く恐ろしげな声が聞こえて来た。
「待って居たぞ、クロスセイバー……とうとうここまで来たな……」
「魔王ディアボロス……」
2人の前に現れたのはこの世界を闇で支配していた魔王ディアボロス。
クロスセイバー達は遂に魔王ディアボロスとの最後の戦いの場にたどり着いたのだった。
ん?
最終決戦?
「だがもう遅い……既に我ら魔王軍は異世界への侵略開始は最終段階まで来ている。貴様如きでは止められん」
「何だと!?異世界侵略!?」
「貴様と遊んで居られないのだよ……マジョーラ、準備はどうだ?」
ディアボロスの配下の魔女、マジョーラが現れる。
「はい、ディアボロス様!準備は完了でございます!」
マジョーラは何故か元気良く答える。
マジョーラが異次元世界へのゲートを開く。
「では行くぞ」
ディアボロスはそのゲートに向う。
「行かせるか!!」
クロスセイバーは2本の剣を構えディアボロスに斬り掛かる。
「邪魔だ!!」
ディアボロスはクロスセイバーに光弾を放ち攻撃。
「ぐっ……ぐわぁぁぁぁっ!?」
クロスセイバーはダメージを受け倒れる。
「クロスセイバー!」
セイラがクロスセイバーに駆け寄る。
「さらばだクロスセイバー……」
ディアボロスは異次元のゲートに入って行く。
「クソッ!逃がすかー!!」
クロスセイバーはディアボロスを追い掛け異次元のゲートに入って行く。
「クロスセイバー!待って!私も!」
セイラもクロスセイバーを追い掛け異次元のゲートに入る。
「うわぁぁぁぁっ!?」
クロスセイバーとセイラは次元のトンネルの中を移動する。
そして……。
たどり着いた先は……。
「ん?……こ、ここは!?」
クロスセイバーの正体の青年オビトが目を覚まし辺りを見回す。
近くにセイラも倒れていた為、オビトはセイラに声を掛け起こす。
「セイラ!セイラ!しっかりしろ!おい!」
「もーうるさいなぁ……」
セイラは文句を言いながら起き上がる。
「あのな……それよりここはどこだ?」
「え?……あっ!そう言えばディアボロスは異世界に……ってことはここは異世界って事!?」
2人が辺りを見回すとそれは確かに二人にとって見たことの無い風景だった。
銀色の塔と赤色の塔2つの塔が見えていた。
彼らが辿り着いた世界……。
それは現代の日本だった。
「何なんだ……ここは?」
その頃、フリーターの青年、村木 寛太(むらき かんた)(19歳)は運送業のアルバイトをしていた。
「こんにちはー!お届け物でーす」
寛太が届けた家はお婆さんが1人で暮らす一軒家。
中から家主のお婆さんが出てきた。
「あっ、どーもご苦労さま」
「え〜っと、ではこちらにハンコかサインをお願いします」
お婆さんがハンコを押す。
「はい。村木さんいつも予定通りに届けてくれて本当に助かるわぁ」
「いえいえ、それが仕事ですから」
「今日はね、この後病院に行かなきゃいけないから時間通りに来てくれると助かるのよ」
「そっかぁ、お婆ちゃん今日病院なんだ。もう出るの?」
「そうね、もう直ぐ出るわ」
「じゃあ、送って行こうか?俺、この後時間あるし」
「えぇ!?そんな悪いわよぉ」
「遠慮しないしない。もうこの後の配達は午後だし暇だからさ」
「そう?悪いわねぇ。じゃあお言葉に甘えちゃおうかしら?」
「どーぞどーぞ」
寛太はお婆さんを車に乗せて病院へ向う。
どうやらかなりのお人好しの性格の様だ。
その頃、オビトとセイラは見知らぬ東京の街を彷徨っていた。
「あ〜……腹減ったな……ここが何処かも分からんし……」
「そうね……せめて何か食べ物を……」
セイラが辺りを見回す。
すると、八百屋さんを発見。
「あっ!あのお店果物売ってる!」
セイラが走り出して八百屋に行く。
「へいらっしゃい!」
「ん〜っと〜……あっ、このリンゴ6つ下さい!」
「りんご6つね、毎度!えっ〜とじゃあ……1140円ね」
「えん?えっ〜とそれはジェムで換算するといくら位ですか?」
「ジェム?馬鹿言っちゃいけないよ!そんなゲームの中のお金なんかで買える訳ないだろ!冷やかしなら帰ってくれ!」
セイラは追い返された。
「なんなのよもう!ジェムが使えないなんて不便な世界ね!」
「それに怒んなよ……はぁ〜しっかし腹減ったな〜……」
その頃、この世界に侵略に来た魔王軍は……。
魔王ディアボロスが玉座に座る。
「お待ちしておりましたディアボロス様」
幹部の1人ドラゴニルがディアボロスの前に跪く。
「ドラゴニル、侵略の準備は整ったか?」
「はっ!既にこの世界の侵略の為の部隊を編成しております」
「では早速始めよう……まずはこの世界の人間共に我らの存在を知らしめるのだ」
「はっ!では……来い魔獣人グレンドラン!」
魔獣人グレンドランが前に出てくる。
「はっ!お呼びですかドラゴニル様」
「ああ、この世界の侵略第1号はお前だ。ディアボロス様、我が竜族の中でも火の力に優れたグレンドランです。この世界の侵略の一歩には丁度よいかと」
「ほほぉ……やってみろ」
「はっ!必ずやご期待に答えてみせます!」
グレンドランが出撃。
寛太はお婆さんを病院に送り届けた後、コンビニで弁当を買い昼休憩を取っていた。
「さてと、頂きます!」
だがその時、近くで突如爆発が起きた。
「うわっ!?な、何だ!?」
寛太は現場に行ってみる。
グレンドランが戦闘員の使い魔を引き連れ攻撃を開始していた。
さっきの爆発はグレンドランの炎が車に引火し起こった物の様だ。
「何だ?何が起きたんだ!?」
「ハッハッハッハッ!人間共、この世界は我々魔王軍が支配する!貴様らに明日は無い!」
「な……何なんだよ……あの化け物……」
寛太は足が竦んで動けない。
周りの人々も逃げ惑う。
その中に先程のお婆さんを発見。
「あっ!お婆ちゃん!」
お婆さんは転んでしまった様で動けずに居た。
使い魔が迫る。
「まずい……助けなきゃ……」
寛太が勇気を振り絞りお婆さんの元へ走り出す。
「お婆ちゃん!」
「ああ、村木さん……助けて……」
「大丈夫、さっ、俺の背中に」
だが、そこへ使い魔が迫る。
「うわっ!?」
「おっと!」
そこへオビトが現れ使い魔を蹴り飛ばす。
「大丈夫ですか?」
セイラが寛太とお婆さんに駆け寄る。
「え?え?君達は!?」
「お前、戦う力も無いクセに無茶するなぁ……」
「さっ、ここは危ないから早く逃げて」
「ああ……うん」
寛太はお婆さんを背負ってその場を離れる。
「さぁ、こっちです!」
お巡りさんが避難誘導をする。
「お巡りさん、この人をお願いします」
「あっ、はい。お任せ下さい」
寛太はお婆さんを警察官に預ける。
オビトの前にグレンドランがやって来る。
「貴様、クロスセイバーか。この世界にまで来ていたとはな」
「フンッ、テメェらみてぇなのが居たらどこまでも倒しに来てやるぜ!覚悟しろ!」
オビトは両腕を顔の前でクロスさせる。
『クロスチェンジ』
オビトの両腕のブレスレットにはめられた石が緑色の輝きを放つとその光はオビトの体を包み込みオビトをクロスセイバーへと変身させた。
クロスセイバーは緑と銀のボディの戦士。
背中には2本の剣をクロスさせて携えていた。
「何だ?……アイツは……」
寛太は戻ってきていた。
「クロスセイバー……ぶっ殺してやる!!」
「へっ!上等だ!!」
クロスセイバーとグレンドラン達魔王軍の戦いは遂に日本で始まった。
魔王軍に侵略されたこの世界の運命はどうなるのか?
続く……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます