みずからを助くる者を
どうして誰も俺を助けてくれないんだろう
こんなに大変なのに
こんなに困っているのに、悩んでいるのに
どうして誰も俺の話を聞いてくれないんだろう
俺にはみんなが助け合っているように見える
俺もその中に入りたいのに入れてくれない
一方で俺はみんなの話を聞いている気がする
なのにどうして俺は独りぼっち
どうして誰も俺を助けてくれないんだろう
ずっと疑問で不満で苦痛で、“くれない”の連発
でもある日そうではないんじゃないかと降りてきた
人間には他人を助けるなんて発想がそもそもないんじゃないか
みんなが助け合っているように見えるのは
あくまでも“助けることができる”からで
もしくはさすがに絶体絶命だからで
“大したことのない悩み”と判断されたら
やっぱり彼も助けてもらえないんじゃないか
そういう世界に僕らは生きてるんじゃないか
“困ったことがあったらみんなで助け合おう”
と言っときながら、頷き合いながら
“悩み相談は迷惑だからやめてくれ”
その次のステップは“それはお前が頑固だからだ”
“お前が強情だからだ”
“悩みがあったら聞くよ”と言われたから
話したら“お前だって人を傷つけることがあるのに自分が傷つくのは嫌なの?”
いやだって、聞いてくれるって言うから
その次のステップは“不幸自慢をしている”
“お前の悩みは大した悩みじゃない”
“困ったことがあったら飛んでいくよ”と言われたから
電話したら折り返しの連絡はなく
後日、“番号登録し忘れた、あれ君だった?”
いや、その、なんていうか、そう思っていたのなら
人間には他人を助けるなんて発想がない
困っている人を助けるなんて概念がない
“自分次第だからね”とうそぶきほったらかし
他人の話は如何に聞き流すか無視するか
だから助けてくれないのは当然だった
だってそれが人間の基本仕様なんだもの
と、少なくともそう思っていた方がいい
神は自らを助くる者を助くという
他人にしかできないこともあるけど
一方的な期待はいつかきっと裏切られる
一方的な期待が悪いのは一方的だからだ
それを自分次第というなら
まあわからんでもない
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます