テスト前狂想曲(試作2業)

天草四浪

1話(多分2話へは続かないです)

 お気に入りのマグカップたっぷりに熱いコーヒーをそそぐ。

 カチッ、カチッ

 静かな夜は時計の秒針が部屋に響くのでラジオを聴く。時刻は23時。お気に入りのチャンネルに合わせる。僕はあまり秒針の音が好きじゃない。「時間は刻々と進んでいる。急げ。」と言われているように感じるのだ。......なんてね。

 1人でこんな風にカッコつけてはいるが明日は苦手な数学のテストがある。本当のことを言ってしまうと、そんな事をしている余裕も無い。追い込まれている。「急げ」と急かしているのは秒針ではなく僕の心にいる絶滅寸前になっている真面目くんの声だ。

 申し訳程度に机の上に広げているテスト対策プリントに載っている問題を見る。問題達よ、はじめまして。

 じゃあどうしてこんなに呑気なのかって?背水の陣ってやつだ。もちろん本音は現実逃避。

 ラジオではなんの偶然か僕の大好きな曲が流れていた。同じようにこの曲を好きな人がいると考えると少し嬉しい。

 僕は温くなったコーヒーを口に少し含みついニヤリと笑う。

 ポコンッ

「うわっ」

 不覚にも聞き慣れたはずのスマートフォンのメッセージ着信音におどろいてしまった。届いたメッセージは友人からだった。夜中にメッセージを送るなんて、余程切羽詰まっているらしい。読んでみると、丁度、僕を悩ませているテストの対策プリントを写真で撮って送って欲しいとの事だった。

 僕も友人に言えた事ではないが今からテスト勉強はさすがに遅すぎないか?時刻は24時50分。日付はもう変更し、テスト当日の月曜日だ。念の為カレンダーを指差し確認。曜日よーし。日付よー......あれ?

「祝日じゃん。」

 なんと皆、大好き祝日だった。つまり気づかないままこんな時間まで起きていたなんてなぜか悔しい。いや、今はタイムリミットが伸びた事に喜ぶべきだろうか。シャープペンを放り投げ、いそいそとベッドに潜り込んだ。休息は大事だ。おやすみなさーい。

 この時、友人に先程頼まれていた画像を送り忘れている事に気づかなかった。なおかつ、僕はその後、そのテストで赤点をとるなんて知らなかった。

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テスト前狂想曲(試作2業) 天草四浪 @aoao9029

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