第13話 おわりのあとにはね

「おいカーリー! お前の力でどうにかできないのか?!」

「ごめんなさい。ぼくじゃむりなの」


「くっそおぉ!」

「だからね、タイチ」


「だからねじゃねえって。早く逃げるぞ!」


「だからね、タイチ」


「だからねじゃねえっつってんだろ?! こんなところで死んでたまるかよ、逃げなきゃ死んじまうって言ってんだよ!」


「タイチ、あのね、あのね」

「なんだよ! 言いたいことがあるなら言ってくれ!」


「あの星は天から降ってきてこの世界をたくさんこわしちゃうの」


「はぁ?! 何を訳のわからないことを。いいから早く行くぞ!!」


「そしてね、そのあとにね」


「なんだよ! 早くしないと本当にまずいって!!」


「あたらしいところができるの」


「はぁ?! なにいってんだ? 新しい所? なんなんだよ! わかんねえよ!」


「だからね」


「そんなことより今はここから脱出することが先決だろ!」


「タイチ」


「いい加減にしとけよカーリー!」


「タイチ、きいて。おねがい」


「なっ!」


「だからね」


「わかった。わかったよ、聞くから話してくれ」


「ありがとう。それでね、おわりのあとにはね、はじまりがあるの。それがね、いまなの」


「始まり? 終わりの後に、始まる?」


「うん。はじまって、またおわるの。それをずっとずうっとくりかえすの」


「ってことはあの星が落ちてくることも分かってたってことか?」


「うん。わかっていたよ。ねえねえ、タイチはかえりたい?」


「当たり前だろ。こんなわけの分からない所で死ぬなんて冗談じゃない。現実世界に戻って飯を食うんだよ」


「そっかあ。じゃあもうおしまいなの」


「は? おしまい? どういう意味だよ」


「あの星がおちてきたら、おしまーい。タイチはかえりたいから、まあよかったんだよね?」


「ああ、まあそうかなあ。さすがに夢とはいえ疲れたからなあ。もう何も考えずに眠りたいかな」


「そっか。タイチ、ばいばーい」


 タイチに抱き着く。

 タイチもカーリーをゆっくりと抱きしめる。


 緑の星はもう目の前まで迫っている。



 (カーリー、ありがとうな)


 そう思って目を閉じた瞬間だった。



 ドンッ!


 え?


 

 緑星は地面に激突し川から大量の蒸気が上がる。

 木々は引きちぎられ、風に飛ばされ、前もよく見えない。


 じゃあねえ!


 大きな音が聞こえ、体が宙に浮いたような気がした。


 そのまま地面に落下していく。


 なんで?

 カーリー?




 ドーン!


 背中を激しく打ち付けたようで、痛みと衝撃で呼吸ができない。


 苦しい。

 意識が薄れる。

 このままでは死んでしまう。


 カー…… リー……?





「あーあ、せっかくなかよしになれたのになあ。あのまま帰らないっていってくれたら、あたらしい世界で教会をさがせたのになあ」



 カーリーは滝の下を見つめながら言う。


「ま、いっか。つぎはどんなおともだちがくるのかなあ?」


 そう言うとホルンを吹き鳴らす。


 

 フォーーーーーン


 フォーーーーーン!



「これでこんかいのゲームはおしまい!」

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