No.2-27:復活の一歩(ハンス視点)

 今更かもしれませんが若干のグロ描写があります。

 お気をつけください。

—————————————――


「ゴボ……」


 身体が痛い。何があったんでしたっけ。……あぁ、そうでした。よくわからない人に攫われたんでした。ここはどこなんでしょうか。何やら大きな筒の中に入れられてるようですが。私以外にも沢山の方が筒の中にいて、よくわからない器具を付けられてますね。


 とにかく隙をみて逃げ出さないとですね!



「フォス、の作成状況はどうだ」


 何やらここに暮らす人?の声が聞こえてきました。恐らく敵でしょうから、寝てるふりをして話をきいてみましょう。


「おや?おやおや?お戻りになったのですか。はまだかかりますよ」


「そうか。では将軍閣下はどうなのだ?」


「今は安定してますが、そもそも崩壊の原因を取り除かないと運用は無理ですね」


 王?将軍?彼らは一体なんの話をしてるんでしょうか。


「崩壊の原因は?」


「彼の肉体生成に使用した破壊神の因子が、他の因子を破壊したのが原因ですね。単体では生命として成り立たないので、同じく神に由来する陸の王ベヒモス海の王リヴァイアサンの因子も使用したのですけどね。同じ神に由来した因子ならバランスを取れるだろうと思っていたのですが、破壊神の力は想像以上に強かったようです。破壊神ラグナロクの権能システムを引き継いだダンジョンを利用して、魔族を生み出すよう誘導するまでは上手くいったんですけどねぇ」

 

「ふむ。失敗はいつだって付き物だ。これからどうするんだ?」

 

「今は破壊神の因子をそのまま使用していますがこれを改造します。破壊の力が強すぎるので、この力を制限して徐々に上限を上げていく形にしようかと。あとは素体の強度も高めないといけませんね。ダンジョンから生み出した魔物ベースでは生物としての強度は低いみたいですから」


「それで人攫いを俺にさせたわけか」


「そういうわけです。素体については、人に魔石を埋めれば強度が強くなるのはわかってますから、あとは調整を繰り返すだけですね」


「それがこのカプセルに入った生物の正体か。それにしても殆ど原型を止めてないな。大丈夫なのか?」


 えっ、原型を止めてないってどういうこと!?僕には人にしか見えないけど。っていうか僕大丈夫だよね?まだ改造されたりしてないよね。いやだよ、死にたくないよ!だれかここから出して!


「魔石にも種類がありますからね。原型を止めてるタイプほど、強度は強く、素体として優秀だと思ってください。特にこの子は優秀ですね。流石は初代ヒューマ帝王の血を引く子です。内乱のおかげで、いつもなら攫えない人も攫えるのは運がいい。おや、不安ですか?大丈夫ですよ。君はの素体候補ですからね。丁重に扱いますから」


 暴れているのに気が付いた研究者が僕に話しかけた。王って何……?どういうこと……?


「ふふふ、それはお楽しみです。あぁ、折角ですから、実験の成果をここで見せましょうか。被検体No3122、出てきなさい」


『ガ……ガァ、ハ、ンス。よ、が、っだ』


 えっ、あっ、いや。いやだいやだいやだ。そんなわけない。嘘嘘嘘。これは夢。


「良かったですね。感動の親子の再会ですよ」


 いやあああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!違う!!そんなわけない!パパとママはこんな怪物じゃない!!僕のパパとママを返して!!


「おや、ご両親は息子さんに嫌われてるようですね」


「流石に俺でも嫌うぞこれは。趣味が悪い」

 

「そうですか?私としては夫婦の愛を体現した最高の作品だと思うんですけどね。右半分は父で、左半分が母の肉体。手足も合わせて8本、両性具有で、二人の顔は常に互いを向いていて、いつでも愛し合える状態。さらに魔石4つ使用してるので素体としての強度は現状最高ですよ?」


「これを素体にして復活する先祖が可哀想なんだが」


「ふふふ、その点は大丈夫ですよ。素体として重要なのは強度のみ、姿形は魔族であれば自在に変えられますから。だけは別のようですが」


『ハ、ンズ、ハン、ス』

 

 あ”あ”っ”、あ”っ”……あっ……


「おや、気絶しましたか。精神も順調に崩壊しつつありますね。いい具合です。さて、私は研究に戻りますが、あなたからは何かありますか?」

 

「我ら誇り高き魔族が、再びこの世界の覇者となれるなら何でもいい」


「ふふふ、えぇ、私もその日を楽しみにしております」




———あとがき——————————

 私自身、書いてて『えげつな……(ドン引き』ってなりました。

 どう練ってもこんな展開にしかならなくてですね。すみません。

 幼いハンス君を救えるように頑張らないとですね。


 

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