外伝:一般人から見たRe:FW

Side.A-1:一般プレイヤーAさんの場合

少しだけ一般モブ目線をどうぞ。

——————————――



 やぁ、俺は一般プレイヤーA。『一般プレイヤーA』がプレイヤー名だ。エーさんと呼んでくれ。


「おう、エーさん。あんたもRe:FWの抽選あたったんだな」


「ビーさん。あなたも当たってたんですね」


 アバター作り早速ログイン。初期リス地点である公園の噴水前にリスポンすると、他ゲームで同じパーティメンバーだったビーさんと合流した。


「アバターはいつも通りなんですね」


「そういうお前もな」


 俺のアバターはリアルと同じでさえないサラリーマンだ。リアルと少し違うのは隈がないことくらい。ゲーム内くらいは健康的な見た目でいたいからな。そしてBさんはインテリ眼鏡インキャという感じのキャラクター。もっさりした重たい髪の毛とちょっと猫背なのが印象的だ。 

 

 ちなみに陰キャなのは見た目だけで、リアルでは既婚者で子持ちという圧倒的リア充である。羨ましい限りだ。


「ビルドは魔法職ですか?」


「あぁ。INTとMNDに重点的に振って、スキルは水魔法・火魔法・魔力感知・魔力操作・INT強化の5つを選んだ」


「鑑定とか採取とか入れなかったんですね。魔力感知と操作は抜いても良さそうですけど」


「ソロでやるなら必要かもしれんが、俺はパーティ組んでやるつもりだからな。あと、魔力関連のスキルがあるゲームは魔法職にとって必須スキルのパターンが多いからな。お前はどうだ?」

 

「あぁー、確かにそうっすね。俺はサブタンク構成っすね。剣術・盾術・VIT強化・ATK強化・DEX強化を入れてます。DEXはジャスガ補正とかクリティカル補正を期待してですね」


「なるほどなぁ。ってお前も鑑定とか採取を入れてないじゃねぇか!」


「お互い様ですね」

「「ハッハッハ!!」」


 やっぱこの人とはノリがあうなぁ。話してて気が楽だ。見た目が陰キャなのに隠しきれない陽キャ感があって何か変な感じするが。


「冒険者ギルドに登録はしたか?」


「チュートリアルで登録済みですよ。」


「じゃぁ依頼受けて外いくか」


「ですね」


 依頼は街中であれば冒険者ギルドに赴かなくても、メニュー画面から受けることができる。その代わり受けられる依頼に制限はあるとのことだけど。受けた依頼はスライムゼリー×5の納品とホーンラビットの角×5の納品だ。


「よしっ、装備は大丈夫か?」


「大丈夫だ。問題ない(キリッ)」


「ブッ、古すぎるネタやめろwww俺らその時代生まれてないだろwww」


「www、知ってる人の方が少ないですからねww」


 大丈夫も何も、チュートリアルで装備買ったからこれ以上のものがないだけなんだけ。そんな俺の装備はシンプルな片手剣と円盾。防具は革鎧だ。ビーさんは魔法職ようの杖にローブといういかにもな装備をしている。




「お疲れさん、これから狩りかい?」


 街の西門につくと門番に声を掛けられた。無難に『えぇ、そうです』と返すと、『魔物は強くないが、油断するとやられるから気を付けてな』と返された。気のいい人だ。『ありがとうございます。』と返して西門を出た。


「じゃぁまずはスライムからやろうか。前は任せた」


「了解!はぁっ!」

  

 俺は力強くスライムに向けて攻撃。しかし『ブヨンッ』という音と共に跳ね返された。


「わわっ!?」


「前!攻撃くるぞ!」


「っ!」


 スライムの割に動きが早く、触手を生やして攻撃してきた。それを何とか盾で防ぐ。


「ファイアボール!」

 

 攻撃を止めてる間にビーさんがファイアボールをスライムに当ててスライムは倒れた。ドロップはスライムゼリー×2だった。


「すみませんビーさん。攻撃任せっきりになってしまって」


「いやいや。初見なんだから仕方ないだろ。一応ダメージは通ってたみたいだから、物理で倒せない訳でもなさそうだしな」


「スライム相手の時はタンクに徹しますね」


「それが安定だな。おっ、次が来たぞ」


 次に現れたのもスライム。次は力を入れ過ぎず、あくまで気を引くにとどめて後ろに行かせないように専念。その間にビーさんがウォーターボール2発をスライムに当てて倒した。


「おっ、次のドロップはスライムコアの欠片か。ゼリーは出なかったな」


「ですね。とりあえずこのまま狩りを続けましょう」


 それからスライムゼリーが5つ集まるまでスライムを狩り続けた。回数を重ねるごとに戦いに慣れてきて、最後の方は安定して倒せるようになった。レベルも二人とも3まで上がった。


「いい感じじゃないですか?このままホーンラビットの角も集めましょう」


「だな。そうするか」


「あっ、いましたよ」


「じゃぁ俺が釣るな」


 ビーさんがホーンラビットに向けてファイアーボールを放つ。それをくらったホーンラビットはこちらに向けて一直線に走ってくる。


「いかせない!ってえぇ!?」

  

 ホーンラビットの前に立ち盾を構えて後ろに行かせないようにしたつもりだったが、盾を踏み台にして後ろのビーさんの方に攻撃がいってしまった。


「うおっ!?」


「はぁっ!このぉ!!」


 こちらも攻撃をするが中々あたらず、ヘイトもこちらに向かないためビーさんのHPがどんどん削れていく。


「おーい!助けはいるかい?」


「あっ!お願いします!」


「了解!」


 二人で苦戦してるところに野良の人が助けに来てくれた。その人はAGI重視の斥候型ビルドのようで、上手くホーンラビットに攻撃を当ててヘイトを引き付けてくれた。その間に俺とビーさんは態勢を立て直し、無事にホーンラビットを倒すことができた。


「ふぅ、おかげさまで助かりました。ありがとうございます」


「いやいや、無事倒せてよかったよ。僕一人じゃホーンラビットは厳しくてね。よかったらパーティに入れてもらえないかな?」


「いいんじゃねぇか?ってかパーティ登録してなくね俺ら?」


「そういえばそうですね。じゃぁこの場で登録しますか?メニューから出来たはずですよね?」


「いいんですか?ありがとうございます」


 助っ人に来てくれた野良と共にパーティ登録を行った。野良の方の名前はシールという名だったので、エーさんビーさんと合わせてシーさんと呼ぶことに。パーティ名はABCになった。


「シーさんは何か依頼受けてるのか?」


「僕はスライムゼリーの納品とホーンラビットの角の納品ですね。スライムも角もまだ全然で」


「じゃぁ一緒に集めましょうか。僕らも同じ依頼受けてるので。」


「ありがとうございます。お願いします」


 それから俺たちはスライムとホーンラビットを狩りしていき、指定されたアイテムを納品して依頼をクリア。報酬を受け取ったころには丁度昼過ぎだったこともあり、フレンド登録を忘れずに行ったあと解散となった。


 解散後、もう少しでレベルが上がりそうだったので狩りを続けていると、謎の人物を見かけた。興奮した俺はその情報を掲示板に書きこみ、詳細を求めたのだが誰にも信じてもらえなかった。昼食を終えて戻って来たビーさんシーさんにも信じてもらえなかったので、もしかしたら俺の幻覚だったのかもしれない。


 ・・・でも確かに空を走ってる人がいたんだよなぁ。何だったんだろうあれ。



———あとがき—————————

 君たちはちゃんと一般人しててくれ頼むー!!!

 

 次回は掲示板です。その次からまた本編に戻ります。

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