第3話  大人の恋心

3.

" With Marriage In Mind 結婚を前提に "



 アラフォーと呼ばれるような妙齢の桂子は、2年前を最後に見合いの話も途切れたままだったのだが、同じ職場の緒方知世から、彼女の夫

雅也の同僚の小野寺尊34才を紹介されることに。


 3才年下の寡黙で朴訥な知世の夫、雅也と同じ職場の、年齢的に

青年と呼ぶには少しトウが立ち過ぎている感が否めないけれど

見た目30才と言われればそう見えなくもない風貌をしている

小野寺尊おのでらたける



 緒方知世は、桂子を緒方に紹介するにあたって1つだけ、どうしても

外せない拘りがあった。


 彼が桂子との交際を決めたならその時は、「結婚を前提に・・」の一文の入った付き合い方をしてもらいたいということ。



 「結婚を前提に・・」の一文の入ったきちんとした、そして多少の

重々しさを含む付き合いを知世が望んだのには理由わけがあった。


 長い長い同棲の末に奇跡的に?妻の座を射止めた知世ならではの

思い入れがあればこそであった。


 桂子に亀卦川康之と石川恭子のことを教えたのは知世だった。

 もちろん、知世は桂子が亀卦川に弁当を作っていることを知っていた。


 そこには桂子が馬鹿を見ないようにという、老婆心があった。


 今まで個人的に特に桂子と親しくしていたわけではなかったが

そんな風に桂子の身辺を眺めていた知世は、いつしか独身生活の長かった

自分と彼女を重ね合わせるようになっていた。

 


 その為、知世は職場の人間で桂子に似合いそうな真面目な独身者が

いないのかと熱心に夫にアプローチをかけていたのだ。


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