第5話 沈まぬ太陽と忘れられていく石
スペイン王室は、単なるマルコポーロの空想の世界の話だったとした。しかしながら、日本という妄想の国の代わりに、新大陸を発見したのは、大変喜ばしいことであった。その後、スペインは、ポルトガルとのトルデシシャス条約を結び、西の地域をスペインのものにした。スペインは、南米大陸を侵略していく。
当時、インカ帝国を侵略したのは、フランシスコ・ピサロというスペイン人の軍人で、わずか168人の小部隊であった。しかし、新大陸とはいえ、立派に発展した国である、そんな小規模な軍隊など一蹴するはずだと思われていたが、違った。
スペインは、見事インカ帝国を滅ぼしたのである。それに続き、アステカ帝国をも滅ぼしたのであった。なぜか。
それは、旧大陸で流行していた天然痘が原因だったとされている。天然痘に対しての抗体がスペイン人にはあり、遠く離れた大陸にはその抗体がなかったのであった。それによって、死者が多く出て、征服されることになる。
滅んだのは、外部からもたらされた細菌だったのだ。
その後、スペインの国王は神聖ローマ帝国の王にもなり、当時強大であったオスマン帝国を打ち破り、フェリペ2世がポルトガルの王女と婚姻関係を結ぶことになり、ポルトガルの国王ともなった。
スペインは、太陽の沈まない国となったのである。しかし、南米大陸のポトシ銀山から採掘される銀は、フェリペ2世から日本の奇跡の石の存在を消してしまったのである。大量の銀がスペインに流入し、物価の高騰により引き起こされる価格革命、そオランダが独立し、1588年のアルマダの戦争が勃発。
スペインは、衰退の道を辿っていたとともに、石の存在も忘れられてしまった。
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