第15-1話 復帰祝い

 学校復帰初日は賀川を撃退することができた。


 しかし、いつ何をしてくるかは分からないので気を抜いては行けないと身構えていたのだが、それ以降賀川が反撃をしてくることは無いまま土日に入った。


 そして俺は蔦原と、それに加えて臼井と和泉の4人でシャクドに集まっていた。


「2人とも、学校復帰おめでとう! か、乾杯!」


 臼井は恥ずかしそうにジュースの入ったカップを掲げ乾杯の音頭を取った。


 今日俺たちがシャクドに集まったのは俺と蔦原の学校復帰を祝うためである。


「ありがとー! 和泉ちゃんも今日は集まってくれてありがとね」

「い、いえ……。元から予定はなかったので」

「それにしても和泉ちゃんが紅のこと心配してくれてたなんて驚いたよ」


 和泉さんは学校で臼井と仲が良いらしく、臼井経由で俺の現状を聞いたらしていたらしい。


 俺たちが復帰した日にも俺に声をかけてくれたので、心配してくれていたのは本当なのだろう。


 というかよくよく考えてみたらこの状況やばくないか?


 俺が美少女3人に囲まてシャクドにいるなんて、クラスメイトに見られたら妬まれて呪い殺されそうだな。


「そ、それはもちろんクラスメイトですし、蔦原さんのことも心配してました」


 うん、なんか今クラスメイトってあえて念押しされたような気がしたのは俺だけかな?


「ふふっ。ありがとね」

「まさかこんなところにライバルがいるなんて……。さっちゃんも大変だね」

「へ? 何の話?」

「なんでもない。それより染谷君、本当に凄かったね。あんなに見事に賀川君を撃退してくれるなんて思ってなかったよ」

「あそこまで上手くいくとは思ってなかったよ」


 まああれはどう考えても賀川がビビリなところに助けられたけどな。


 あそこまで賀川がビビリだってことは知らなかったし。


「染谷君、凄かった」


 臼井に続いて和泉も俺のことを讃えてくれている。


「……ありがとな」

「「「--⁉︎」」」


 あ、やっちまった。


 俺はいつものクセで和泉の頭を撫でてしまったのだ。


 和泉はどことなく蒼に似ている部分があり、いつも蒼を撫でている感覚で手を出してしまった。


「ご、ごめん⁉︎」


 俺は急いで和泉さんに謝罪をした。


 これは俺の手が頭に触れたことが嫌すぎて泣かれてもおかしくない。


「……大丈夫。ありがと」


 え、何で俺今お礼されたの?


 今のって普通怒られるところだよな?


「いやーこれはやっぱり大変だよさっちゃん」

「え? だから何? 何の話⁉︎」


 蔦原と臼井が何の話をしているのかは全く理解できなかったが、これから和泉と関わる時は和泉に蒼の姿を重ねてしまわないよう注意しなければならないな。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る