もう少し

勝利だギューちゃん

第1話

「じゃあ、またね」

「ああ、また」


当時、好きだった女の子と、最後に話した会話。

正確には、今のところだが・・・


卒業記念に、一度だけデートをした。

それを機に、彼女の事は封印した。


その後、何度か偶然会うこともあったが、言葉を交わす程度・・・

会話らしい会話はなかった。


それから、数十年・・・

彼女は今では、完全にセピア色となった。


おそらくは、もう会うこともないし、その気もない。


僕は独身だが、彼女は幸せな家庭と築いていると聞く。

なので、今更首を突っ込む気はない。


・・・と、こんなものかな。


僕は今、作家をしている。

当時は漫画家を目指していたが、挫折をした。

気まぐれで、ネットに載せた小説が、目に留まりデビューにいたる。


彼女との想い出を描いた『いつの日か』

それがこの度、映画化となった。


その作者コメントに載せる文だ。


そして今日はその試写会が行われる。


「先生そろそろ」

「わかりました」


ドラマやゲームだと、ここで偶然の再会なんてこともあるが、現実にはない。

でも、もう少しだけ・・・


期待してもいいよね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

もう少し 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る