第1話

僕は・・・誰だ?

瞼が重い。いや、身体が重い。

ああ、僕は死んだのか。

妹は、無事だったのか。

彼女だけでも助かっていればいいな。

でも、あいつのために死ねたならよかった。

血が繋がっていたけれど、愛していたから。

あんなに愛していたのに、もう姿も名前も思い出せない。

忘れたくなかった。

彼女の笑顔も、仕草も。

怒ったときの顔も。

ああ、零れていく。

行かないでくれ。

僕の想い。


どれほどの時間が経っただろうか。

重たかった瞼が急に開くようになった。

まぶしい。

あれ?僕の右手に何か感触がある。

柔らかな感触。

瞳が、色彩を取り込んでいく。

ボンヤリとなにかがみえてくる。

僕は、右側に視線を向ける金髪の赤ちゃんがいた。

僕の右手は、その子の手を握っていた。

なんとなくわかる、妹なんだと。

前世の彼女ではないとは思う。

今世の僕の妹。

今世では、彼女を僕が守ろう。

どんなモノからも。

僕が守るよ、君を。

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