前のエピソード――百歳体操（想いを紡ぐ！　タイムカプセル・その２）

滑舌の訓練をはじめています。きっかけは、夫への電話。

「今日、残業だそうだけど、いつ帰るの？」

　わたしが言うと、夫は、

「なに？　なにがないって？」

「いつ帰るの？」

「ロケットを飛ばす？」

「発射じゃない！」

　こういうことが何度も続くんです。しかも夫だけでなく、義母にも同じようなちょうしで何度も同じことを聞かれます。そんなにわかりづらい滑舌だとは思わなかった。知らない人との会話も成立しないし、こりゃヤバいかも。

　しょうがないので、滑舌ドリルという本を買って、毎日３分ほどトレーニング。

「小仏峠におとぼけロボットお届けだ」

「五競技のご講義はご好意だ」

「阿蘇市阿蘇市役所の朝清掃」

　といった早口言葉を３分間、しゃべるんですね。

　最初はゆっくり。

　徐々に早くしゃべります。

　１週間経ちました。さすがに効果が出た……と言いたいけど、口が渇くだけでいっこうによくなったという実感がないんです。毎日３分では効果がないのでしょうか。

　同じように毎日訓練していることがあります。今年の６月１２日に体力測定があり、結果が７月２４日に来たんですが、それによるとわたしが要介護になる確率は１％なのだとか。そこで筋力ＵＰ体操とバランスＵＰ体操を紙でもらって１０分程度。今月の２５日からはじめてます。いろんな運動があってそれが面白いけど、全部はすぐに覚えられないです。

　介護されるのが怖くてはじめたふたつの訓練、ちっとも効果が出ていません。滑舌の訓練なんか、悪口を言ったら夫にしっかり聞こえていて、「おまえはボケ老人か！」と思ってしまいます。

　高校の時の友だちは、「喋らなかったら可愛い」って言ってました。沈黙は金、口は災いの元と言います。愛嬌かつフレンドリーなわたしには、沈黙はハードルが高いので、今後も訓練を続けます。

滑舌、五年後にはバッチリだといいんだけど。