2024年
17冊目 『なるようになる。 僕はこんなふうに生きてきた』
『なるようになる。 僕はこんなふうに生きてきた』
養老 孟司 著 中央公論新社 出版
2024/5読了
ちょっと前に読んだ本になります。新聞の広告欄に載っていて、養老先生の本だと覚えていたんですよね。本屋で見つけて、買いました。
本著は、「初の自伝」というキャッチコピーみたいです。いろいろな著書で、養老先生の体験談が語られていると思いますが、先生自身がどんな人生を歩んできたのかを一冊にまとめた本は、初めてなのかな。
私が学生時代、『バカの壁』がヒットした時期でした。本屋に並べられているのを見て、読んだ記憶があります。当時は全然わからなかったような。なんか、年寄りが説教くさいこと言っているなって、若い頃は思っていました。
なんかね、若い頃の私は、「東大の先生がなんか賢そうなこと言っているから、みんなにちやほやされているだけじゃん」みたいな、非常にひねくれた考えを持っていました。
養老先生って、東大医学部卒業で解剖学者なんですけど、ノーベル賞を取ったみたいな業績があるとか、大きな功績があるとか、そんな人ではないんですよね。ただ、物事に関して、すごく深く考えているんです。
養老先生って、ある問題について聞かれると、「そもそも」をよく話すんですよね。あとがきで、聞き手の鵜飼 哲夫氏が述べているのだけれども、核軍縮をテーマに聞いたとき、「人間の持っている攻撃本能をどう位置づけるか」という話から始めたそうです。
表面上に見えている問題は、いわば氷山の一角なんです。その下にある、社会の仕組みとか、人間の性質とか、それって「そもそも」こういう仕組みや環境や性質が原因だよねっていうのを、養老先生は的確に指摘してくる。だから読者は、「なるほどごもっともだ」と感心する人もいれば、私のように「なるほどわからん」とよくわからない人もいるのかもしれません。
本著では、養老先生の生い立ちを追いながら、先生がどんな考えを今まで持ってきたのか、どうしてそんな考えを持つようになったのかを、感じることができます。人の性格や考え方って、その人の過去の体験が大きく関わってくるものだと思います。明確な答えはないけれども、「僕はこんな人生を歩んできて、こんなことを考えてた」というのが伝わってきて、養老先生の人柄を感じられます。
読み終えたら、また『バカの壁』を読みたくなりました。若い頃とは違った感想が出てくるんじゃないかな。
『バカの壁』など、読んでみようと思っている方や、一度読んだけどわからなかったという方は、まずこの本から読んでみるのはいかがでしょうか。エッセイなので読みやすいですし、書いた本人の人柄も知れるので、養老先生の著書がより理解できるようになるかもしれません。
今回も、楽しい読書体験でした。
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