15冊目 『後宮の花結師』

『後宮の花結師』

彁はるこ 著 カドカワBOOKS 出版


2023/11/3読了


 女性が頭から花を咲かせることができる世界で、繰り広げられる中華ファンタジー。


 後宮で働く草苺ツァオメイは、雑草むしりばかりさせられる底辺女官。彼女の頭に咲くのは、雑草の蛇苺で、花よりも実のほうが多いという有様。それでも彼女は手先が器用で、女性の頭に咲く花を整える「花結い」が得意だった。


 正式な花結いをするためには、試験に合格して「花結師」になる必要があるが、下級女官の草苺には夢のまた夢だった。


 そんなある日、頭の花に得体の知れない虫を付けた妃嬪が、草苺のもとへやってくる。草苺は、後宮の事件に巻き込まれていくのだが……。


 カクヨムで開催された「楽しくお仕事 in 異世界」中編コンテストの優秀賞作品。


 いやぁ、面白かったですねー。


 主人公である草苺の優しくも毅然とした性格が、印象良くてずっと応援していられました。雑草呼ばわりされている彼女ですが、根がしっかりしていて、心の強さを感じます。最後までぶれない芯の強さに、こちらも勇気をもらえました。


 また、私が好きなのが、草苺のそばにいる蛇のメイ。しゃべることができる不思議な蛇で、とあるきっかけで草苺と出会い、ずっと一緒に暮らしています。草苺にとっては、家族であり師匠。ふたりの微笑ましいやりとりには、読んでいてほっこりしました。


 物語は、底辺女官だった草苺が花結いの実力を認められていく一方、後宮に不穏な事件が起こり、草苺もそれに関わっていくというもの。一筋縄ではいかない展開にハラハラしつつも、信頼できる仲間たちの愉快なやりとりは、暗くなりすぎずに読むことができます。


 可愛い猫ちゃんも出てきて、もふもふに癒やされることも間違いなし!


 きれいで可愛らしいイラストにも注目ですよ。


 読み終えて大満足の一冊です。


 今回も、楽しい読書体験でした。



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