生まれた異世界どう生きる?

曇はたひ

1章

第1話 世界と旅の始まり

雲一つない快晴の空の下、計画的に緑を整備し作られた道を一人のエルフと少女が歩いていた。


この世界では珍しい黒髪の少女は言う。


「で、これからどうするんですか?私、まだこの世界のことを何も聞かされてないんですが」


エルフは少し顔を傾けてから、話し出した。


「この世界はまだ生まれたばかり。後、1000年程でまた死ぬから、それまで世界が消滅してしまわないようにすればいいんだ」


「具体的には、各地に台座があって、そこに僕達の魔力を流すこと。ちなみに行き先言ってかなったけど、今はそこに向かってるよ」


「でも、気候的に正直行きたくない場所もあるから苦労することに間違いはないねぇ。それに、僕みたいなエルフだけじゃなくて他種族もいるからね」


碧色の瞳を閉じた彼は、気だるそうにしている。


少女はこんな人が仲間で大丈夫か、と思いながら呟いた。


「私が帰れるまで、命の保証はしてくださいね」


「大丈夫。分かってる」


「というか、まだ貴方の名前すら知らないんですけど」


「あれ?言ってなかったけ?」


「聞いてないですよ・・・・・・」


彼は「オホン」とわざとらしく咳ばらいをし、自己紹介を始めた。


「では改めて、僕はシヤ・サリス。見た目でわかると思うけど、魔法で戦う。ちなみに君の名前は?」


「私はヒマリという名前です」


「分かったヒマリちゃん」


策士の顔をしながら、ちゃん付けをしてくるエルフに彼女は酷く不機嫌そうな態度を取った。


「ちゃん付けはやめてください。今までどおりの扱いで良いですよ」


「えっ、そんなに嫌だった?」


「嫌です。あと、貴方のノリでここまで歩いてきてますけど、今の気温ものすごく高くないですか?」


「そうだよ。この世界には季節があって、今ちょうど火山の方から風で熱気が吹いてくる季節なんだ」


「なるほど・・・・・・。日本で例えると、夏でしょうか」


彼女は小声でそう話す。


「ナツ?君の世界では、そんなふうに言われていたのかい?」


「それと、君の世界には魔物がいないと話していたけれど、こんなに暑いと熱風と一緒にファイアードラゴンがこっちまで流れてきてたりするんだよね」


「ドラゴン!?本当に大丈夫なんですか・・・・・・」


「大丈夫。そうそういないから」


彼女が本気で焦ると、エルフは陽気に返した。

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