結婚の約束をした妹に内緒で、他の女性とイチャついていました。
関口 ジュリエッタ
第1話 妹にバレました……。
人生で一番の楽しい思い出になる夜を過ごし、美少女と別れた明宏は自宅に帰ると玄関で眉毛をつり上げている地獄の閻魔みたいな形相をした義理の妹の
「よう、杏……。どうした怖い顔をして……?」
「今何時だと思っているのかな?」
「え……っと、おっ、俺の筋肉が急にうずき出して、さっきまでマラソンしていたんだよ。それから近所の二十四時間やってる本屋に寄ってから帰って来たんだ」
ぐちゃぐちゃな頭を必死に整理し、言い訳を考えたが、杏は顔色変えず、むしろ余計に怒りを強くさせてしまう。
「なに言い訳しちゃってるの? さっきまで女性と深夜のデートに行っていたことぐらいわかるわよ」
「でっ、デートじゃなくて散歩な(なんで知っているんだこいつ……)」
実際デートではなく、さんぽだが杏にとってはデートと変わらない。
「私との約束を忘れて他の女性とイチャつくなんて良いご身分だね。いっそのことその子の自宅にでも住んだら?」
「落ち着けよ杏。確かに他の女性とお出かけしたのは謝罪するけど、お前との約束は忘れるわけはない!」
まだ明宏と杏は小学生の頃に、二人でとある約束を誓い合った。
その約束とは大人になったら結婚するという約束。
実はお互い血の繋がった家族ではなく、明宏が小学二年生の時に父親の再婚で杏がやってきた。
最初は上手くコミュニケーションをお互い取れていなかったが、月日が連れて徐々に打ち解け合い、最終的には結婚の約束までしたし、明宏と杏は血のつながりは無い為、両親も即答でOKのサインを出す。
そんな大事な約束までしているのにどうして他の女性にうつつを抜かしていたかと、いうと実は明宏は大の付くほど女好きなのだ。
今回だけではなく、以前も他の女性との付き合いをしていた為、杏はしびれを切らして明宏に内緒でGPS発信器と盗聴器を忍び込ませて、今回の一件を知ることができた。
「で、どう落とし前を付けてくれるの? 今から
「それは勘弁してくれ!! 俺はま世帯なぞ持ちたくはない!」
必死に這いつくばり土下座するが、今日という今日はさすがに杏の堪忍袋の緒が切れた。
「じゃあ、許してほしかったら私の条件を呑んでもらうから」
「わかった、どんな条件でも呑んでやる!」
「それじゃあ、さっきまでいたバカ女との関係は絶つこと。今すぐもう会わない、とメールで送って」
「わかった」
ポケットから素早くスマホを取り出し、明宏は先ほどまで一緒にいた女性にメッセージアプリで『もう今後、君とは会わない』というメッセージを打ち込み送信した。
「これでいいだろ」
「うむうむ、いいよ。次また浮気したら既成事実作るから覚悟してよね」
「もちろんだ。神に誓って約束する」
その言葉に杏は飽きるほど訊いている為、あまり信用をしていなかった。
「それともう一つ」
「まだあるのかよ!?」
「有名ブランドのマリエスが作ったウサギのぬいぐるみがほしい」
「それって確か同級生から訊いたことがあるけど、五万ぐらいするんだよな?」
「そうだよ。で、買ってくれるの? それとも今ここで婚約届にサインする?」
「買わせて頂きます!」
どこから手に入れたのかわからないが、婚姻届をひらひらと見せつけながら問う杏に、ウサギのぬいぐるみを渋々明宏は購入することを約束する。
アンラッキー7な一日だと明宏は思いながら、自分の部屋にトボトボと入るのであった。
結婚の約束をした妹に内緒で、他の女性とイチャついていました。 関口 ジュリエッタ @sekiguchi
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