第16話 あの子たちは、今・・・

 寺田さんの質問に対し、吉村保母が答える。


 ・・・ ・・・ ・・・・・・・


 その回答内容については、ここでは控える。

 各人のプライバシーに配慮しての措置です。


 ・・・ ・・・ ・・・・・・・


 簡単にかつて自分の子らとともにあの地で遊んでいた子らの現状を聞き及んだ寺田さんは、一言で言い表せないような面持ちになっている。

 それでも、何人かの元同年代のこのことについて、触れないわけにもいかなかったようで、少しばかり、感想を述べるにとどめた。


「あのM君、色白で賢そうな男の子でしたね。覚えています。しかし、高校にもいかずに社会に出てしまって・・・。今はきちんと仕事をされているのであればそれでいいのかもしれませんが・・・、あまりに、勿体ないですね。彼のおねえさんがS高校を出て看護婦の道に進んでいますか・・・。それは、よかった。あのTちゃんも、賢い子でしたね・・・(以下略)」


 少し間をおいて、寺田さんはしんみりと述べる。


「森川先生のいらっしゃった頃は、先駆的な取組をされて地域の人からも大いに愛されていたあのよつ葉園が、森川先生が園長を辞められてしばらく、どうも傍から拝見していて、それまでにない問題が出てきていたようですね。東先生でしたか、後任の園長先生の悪口を言うつもりはありませんけどね・・・」


 いささかならず、公民館のその研修室の雰囲気が暗くなってきた。

 寺田さんは、そのことを察していた。


「でも、今は丘の上の新たな場所で、子どもたちが伸び伸びと社会性を身に着けて社会に巣立って行ける土台が出来つつあるというお話を聞きまして、安心しました」


 そう言って、彼女はマイクを主催者に返した。


・・・ ・・・ ・・・・・・・


 ほどなく、次の質問者が指名される。



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