制作裏話(Aルート)

「元々私は、2000年代にライトノベルやミステリー、ホラーを中心とした小説の執筆を趣味としていた古のワナビです。ワナビってわかります? アイ・ワナ・ビーの、ワナビ。何々になりたい人、みたいな意味ですね。小説家になりたかったんです。様々な小説の新人賞に投稿を繰り返し、箸にも棒にもかからなかったことで筆を折りました。この辺の話は、『だから僕は○○を辞めた』ってシリーズに書いてあります。2022年になって、とある理由があって、カクヨムで自分の作品を公開し始めたんですが、昔の古い作品をそのまま投下する以外は、新作として、エッセイ紛いの雑文を細々と書き繋いでいました。フィクション要素があるのは、『今迫直弥を名乗る人物からのメールについて』のラスト部分だけですね。想像力も創造力も失った私は、架空のキャラクターがいきいきと躍動する『小説らしい小説』を書けなくなっていて、自分の人生を切り売りする以外の道がなかったんです(笑)」

「実話系怪談を書いてみようと思い立ったのは、第一話である『カフェ巡り』の中心的なアイデアが思いついたからです。あってもおかしくなさそうなレベルで、人によっては、ぎりぎりリアルなラインで結構嫌な気分になるかもしれないな、と思って(笑)。そういう、イヤミスみたいなホラーがあってもいいんじゃないかと思ったんです」

「設定をどこまで現実に寄せるかは悩みました。ただ、自分が公務員であることは他シリーズで既に明らかにしているので、警察関係者であるかのように匂わせることで、話をうまく展開させられることに気付いて、後は一気に書けました」

「Nのモデルとなった人物はいませんし、Nが起こしたとされている事件のモチーフも特にありません。調べればすぐにわかるんじゃないですか。全部虚構です。S・Tなる人物も実在しません」

「『カフェ巡り』の話を公開した後は、思いついたままに適当なエピソードを書いていきました。基本的に、実話はほとんどありません。例えば、『AIであるとはどのようなことか』を書くにあたって、AIは一切使っていません」

「『小説は現実じゃない』で、リアリティを演出するために、他のシリーズで言及したことのある、父と妻の病気に関してだけは本当のことを書きましたが、それ以外のエピソードは全部虚構です。現実の出来事がいくつか混ざっているかもしれない、と思ってもらえたら素直に嬉しいです」

「全体を通して、作者である私自身が少しずつ追い詰められておかしくなっている感じを出そうとしていたんですが、そもそも、本当におかしくなっていたら、カクヨムに文章書いて公開してるわけないんですよね(笑)。だから、演出自体のせいで嘘くさくなってしまって、少しやりすぎたかもしれないという後悔があります」

「本当にほとんど虚構です」

「完結する前に制作裏話を公開したのは、私自身がそういう話を読むのがとても好きだからです。一方で、矛盾するようですが、作者は作品内で全てを表現するべきであって、そのような裏話は積極的に書くべきでないという思いもあります。カクヨムでも近況ノートを一切書かないし、SNSもやっていません。一種の縛りプレイですが、作者が自我を出すと大体碌なことにならない、というのは私の信念でもあります。今回は、それでも書きたいという思いが止められなかったので、いっそ作中に組み込んでしまって、この文章自体がフィクションかもしれない、虚構かもしれないという体裁にしました(笑)。メタフィクションっぽくて、本作品にふさわしくないですか」

「お察しの通り、他の章は全部虚構ですが、この章だけは実話となっています」

「あまりアピールしすぎると逆に何か隠そうとしているように見えそうなので嫌ですが、本当に虚構なんです。何なら、各エピソードについて、アイデアを思いついた状況とかモチーフとか、あるいは今後書く予定の章のタイトルとか展開とか、全部説明しましょうか? かなり鬱陶しいですよね」

「最後に一つだけ。『カフェ巡り』の続編は少し驚くような展開になりますので、楽しみにしていてください。少し刺激が強いかもしれませんが、全ての章を読んでくれた方は、よりいっそう楽しめるような仕掛けになっていますので、よろしくお願いします」

「勿論、その続編も全部虚構ですのでご安心ください」



 


                     




                                                              


     


                          

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