第22話

その日の夜8時過ぎであった。


ダイニングテーブルには、義父母とあいつとカノジョが座っていた。


テーブルの上には、ごまあえサラダなど栄養のバランスが整っている料理が並んでいたが、どれも近所の家のお残りばかりである。


義父とあいつはイライラしながら柱の時計を見つめていた。


義父は、自衛隊の封筒を持ちながらイライラしていた。


この時、義父は怒りが噴出する一歩手前の状態であった。


そんな中であった。


しゅうさくが夜8時55分頃に帰宅した。


帰宅したしゅうさくに対して、まっさきに怒ったのはあいつだった。


「しゅうさく!!」


あいつは、ワーッとさけびながらしゅうさくを思い切り突き飛ばした。


その後、あいつはしゅうさくの首をしめて殺そうとした。


義母は、大急ぎであいつを止めた。


「ごんぞうやめて!!」

「止めるな!!しゅうさくがうざいから殺すんだよ!!」


(バーン!!)


この時、義父が平手打ちでテーブルを思い切り叩いた。


その後、義父は強烈な叫び声をあげた。


「ごんぞう!!やめんか!!しゅうさく!!そこへ座れ!!」

「何やおんぼろオヤジ!!もういっぺん言うてみろ!!」

「座れと言った座れ!!」

「なんや!!もういっぺん言ってみろ!!」


思い切りブチ切れたしゅうさくは、義父に殴りかかって行こうとした。


その時であった。


「オドレしゅうさく!!」


(ガーン!!)


あいつは、グーでしゅうさくの顔を思い切り殴った。


「オドレ!!よくも殴ったな!!」


思い切りブチ切れたしゅうさくは、ワーッと叫びながら金属バットを持って向かって来た。


義父は、しゅうさくに対して小皿を思い切り投げつけたあと怒鳴り声をあげた。


「出て行け!!オドレみたいなプータローはこの家から出て行け!!」

「ああ出て行くよ…オレがだめになった原因は全部あんたにあるんだよ!!」

「何だと!?」

「おとーさんやめて!!しゅうさく!!おとーさんに何てことを言うのよ!!あやまりなさい!!」

「あやまるのはオドレらだ!!」

「しゅうさく!!」

「オレはあんたらを一生うらみ通すからな!!」


(ガシャーン!!)


しゅうさくは、思い切り怒鳴りちらしたあと金属バットで大型テレビを壊した。


その後、女々しい声で泣きながら家出した。


さて、その頃であった。


アタシは、阪神大物駅はんしんだいもつえきの近くにあるマンスリーアパートの部屋にいた。


この時、アタシはふとんを敷かずにまくらひとつだけ置いて寝ていた。


時は、深夜11時頃であった。


テーブルの上に置かれている赤茶色のバッグの中に入っているギャラクシー(アンドロイドスマホ)の電話の着信音に設定されている着メロでスーパー・フライの歌『愛をこめて花束を』のサビの部分が繰り返し響いた。


アタシは、びっくりして目をさました。


ピンク色のブラジャー・ショーツ姿でほがそ(ぐちゃぐちゃ)の髪の毛のアタシは、赤茶色のバッグの中からギャラクシーを取り出したあと、電話に出るをタップした。


電話は、深江さんからであった。


アタシは、しんどい声で言うた。


「もしもし…しゅうさく…知らないわよ…あいつにもうひとり弟がいたかしら…アタシ、聞いてないけど…あのね!!アタシはあいつの家とはリエンしたのよ!!リエンした家の人間が車にはねられようが拳銃チャカでどたまぶち抜かれようがコンクリ詰めにされてドボーンとなろうがどーでもいいわよ!!…それよりも寝かせてよ!!」


(ガチャッ…)


アタシは、電話を切ってバッグの中にギャラクシーをしまったあと、台所へ行った。


アタシは、冷蔵庫の中からペプシコーラの350ミリリットル缶を取り出した。


(プシュ…ごくごく…)


アタシは、フタをあけてごくごくとのみほしたあと、大きくため息をつきながらつぶやいた。


おかしいわね…


あいつのきょうだいは、男ばかり3人だと思っていたけど…


もうひとりきょうだいがいたなんて…


信じられないわ…


そんなんウソでしょ…


アタシは、必死になって不安を打ち消そうとした…


しかし、気持ちがもやもやとしていたのでキーッと怒り狂った。


アタシは、右手でほがそ(ぐちゃぐちゃ)の髪の毛を思い切りかきむしった。

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