第14話

時は、午後2時半過ぎであった。


場所は、JR気仙沼駅のプラットホームにて…


アタシは、午後2時43分発の一ノ関行きの普通列車に乗っていた。


座席に座っているアタシは、ツイッターで今のアタシの気持ちをつぶやいていた。


その頃であった。


長期間家を空けていた父がふらりと帰宅した。


それから1分後に義母が帰宅した。


義母と父は、近所の人からアタシが家出したことを伝えた。


それを聞いた父は、大急ぎでアタシを探しに行った。


義母は、家の中でアタシの無事を祈った。


時は、午後2時40分頃であった。


父は、オタオタした声でアタシを呼びながら通りを歩いた。


「こずえ!!こずえ!!どこに行ったのだ!!こずえ!!」


この時であった。


竹宮たけみやがワーッと叫びながら父に向かって来た。


「グワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」


竹宮たけみやは、父の左肩をナイフで激しくりつけた。


竹宮たけみやは、その後逃走した。


竹宮たけみやられた父は、即死した。


午後2時44分頃であった。


アタシが乗りこんだ大船渡線の列車が定刻より1分おくれて気仙沼駅から出発した。


それから2分後であった。


(ガタガタガタ…ドスンドスンドスンドスンドスンドスンドスンドスンドスンドスンドスンドスンドスンドスンドスンドスンドスンドスンドスンドスンドスンドスンドスンドスン!!バリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリバリ!!ドーーーン!!ドーーーン!!ドーーーン!!ドーーーン!!ドーーーン!!)


突然、大地が裂けるような地鳴りが響いたと同時に過激な揺れが発生した。


(キキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキ!!)


この時、列車が気仙沼駅から700メートル先にあるトンネルの中で急に停車した。


(ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!)


車内にいる乗客たちがよりし烈な悲鳴をあげた。


イヤな予感がするわ…


今、発生した大地震で…


非常に危なくなるのかもしれない…


そして…


午後2時55分頃…


(ブーーーーッ!!ブーーーーッ!!ブーーーーッ!!ブーーーーッ!!ブーーーーッ!!ブーーーーッ!!)


恐ろしいブザーが列車内に鳴り響いた。


「ただいま大津波警報が発令されました!!列車を降りて、近くの高台へ避難してください!!」


車掌さんは、大津波警報が発令されたことを乗客たちに伝えた。


スーツケースと赤茶色のバッグを持って列車から降りたアタシは、歩いて高台へ向かった。


(ブーーーーッ!!ブーーーーッ!!ブーーーーッ!!ブーーーーッ!!ブーーーーッ!!ブーーーーッ!!ブーーーーッ!!ブーーーーッ!!ブーーーーッ!!カンカンカンカンカンカン!!ギャー!!ギャー!!ギャー!!ギャー!!)


ところ変わって、中みなと町の近辺にて…


市役所の防災無線のスピーカーからものすごく恐ろしいブザー音と地区の消防団の詰所のハンショウの音がひっきりなしに鳴り響いた。


同時に、住民たちが大パニックを起こした。


大津波警報が発令された…


一刻も早く高台に避難しないと…


大津波つなみにのまれてしまう…


住民たちは、叫びまわりながら助けを求めた。


中みなと町では、倒壊した家屋が燃えていた。


「たっ助けてくれ!!」

「助けてくれ!!お願いだ!!ビルへ上がらせろ!!」

「赤ちゃんがいるのに助けてくれないの!?」

「オラ!!開けろ!!」

「ここのビルのオーナーはどこへ逃げたのだ!!」

「出てこい!!ボンクラビルオーナー!!」

「子供だけでも中に入れてよ!!」


この時、住民たちが暴徒化した。


暴徒化した住民たちは、通りかかった中央消防署の消防車に向けて投石をするなどエスカレートした。


これにより、住民たちの避難が円滑に進まなくなった。


そんな中で、ギンゾウがふらりとやって来た。


ギンゾウは、義母に会いたい一心で借家の近辺に来た。


この時、2軒先の家が倒壊した上に黒煙をあげながら燃えていた。


アタシと義母と父が暮らしていた借家も、建物の一部が燃えだした。


「しゅうか!!おーい!!しゅうか!!どこにいるのだ!?」

「助けて…あなた…助けて…こずえちゃん…」


ギンゾウは、家の中に入った。


義母は、倒れたタンスの下敷きになっていた。


義母は、必死になって助けを求めた。


ギンゾウが義母がいた部屋に到着した。


「しゅうか!!今助けるからな!!しゅうか!!」


ギンゾウは、必死になって倒れたタンスを起こそうとした。


しかし、ものすごく重いので上がらなかった。


ギンゾウのイライラがさらに高まった。


時計のはりは、午後3時20分になった。


この時であった。


ギンゾウを追っていた構成員チンピラ数人がやって来た。


「オドレギンゾウ!!」

「死ねや!!」


この時、構成員チンピラのひとりが揮発油あぶらがしみた新聞紙に火をつけたあと家の中に投げ入れた。


その後、火がまたたく間に燃え広がった。


「ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!熱い!!熱い!!」


ギンゾウは、家の中に広まった炎に焼き殺された。


下敷きになっていた義母も焼き殺された。


それから2分後…


(ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!ドカーン!!バリバリバリ!!ドカーン!!ドカーン!!)


この時、より激しい炎を伴った巨大津波が地区に押し寄せてきた。


市一帯まちいったいが巨大津波によって破壊された。


その頃、アタシはJR気仙沼駅から一ノ関寄りへ700メートル先にある高台に避難して無事だった。


東日本大震災が発生した日から数日の間、アタシは乗客たちと一緒に高台で過ごした。


大震災で住むところと学校を焼かれた…


父親と義母を亡くしてひとりぼっちになった…


アタシは…


これからどうやって生きて行けばいいの?


【第一部・おわり】

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