第12話

11月29日の夕方頃であった。


この日、アタシはプリントの提出を終えたあと帰宅しようとした。


この時、担任センコーがアタシを呼び止めた。


担任センコーに呼び止められたアタシは、教室に行った。


時は、午後4時半頃であった。


教室には、担任センコーとアタシのふたりだけがいた。


担任センコーは、内申書を見ながらアタシに言うた。


「こずえさんはどうしたいのかな…今の状態では公立高校コーリツも私立も受かる見込みがない…英検や漢検などの資格特技がない…賞状がない…その上に目立った罰もない…」


それがどうかしたと言うのよ…


アタシは、するどい目つきで担任センコーをにらみつけながらつぶやいた。


担任センコーは、アタシにあつかましい声で言うた。


「こずえさんは、ペースがものすごく遅いね…ペースが遅い子が通う高校に頼みたいけど…市内とその周辺にはないのだよ…」

「その学校は、どこにあるのよ?」

「近くと言うても…仙台の近郊に一校しかないんだよぅ…」

「それじゃあ、どうすればいいのよ!?」

「こずえさんが親もとから高校に通いたいと言うても…」

「アタシ!!高校に行きません!!」


アタシは、担任センコーに対して怒った声で高校に進学しないことを伝えた。


担任センコーは、泣きそうな声で『楽しい時間はいらないのか…』とアタシに言うた。


思い切りブチ切れたアタシは、担任センコーの顔をスリッパで殴りつけたあとカバンを持って教室から出た。


時は、夕方5時過ぎであった。


アタシは、ものすごく怒った表情で正門から出たあと家に向かおうとした。


この時であった。


正門から200メートル先の路地で竹宮たけみやと会った。


竹宮たけみやは、不気味な声でアタシを呼んだ。


「おじょうちゃん。」

「何よ。」

「おじょうちゃん、これからどこへ行くのかい?」

「うちに帰るのよ。」

「あっそう?」


竹宮たけみやは、ひと間隔おいてアタシに言うた。


「ちょっとすまんけど、話があるけどかまんか?」

「話…」


竹宮たけみやから話があると言われたアタシは、ひどくとまどったが、話の内容が知りたいので竹宮たけみやについて行った。


ところ変わって、南町の岸壁の公園にて…


時は、夕方5時40分頃であった。


竹宮たけみやは、あぐらをかいた状態でベンチに座っていた。


アタシは、そのまま立っていた。


あぐらをかいてベンチに座っている竹宮たけみやは、アタシに言うた。


「おじょうちゃん。」

「何よ。」

「おとーさんは、どこに行ったのかな?」

塩竈しおがまに行くと言うたあと家から出た。」

「あっそうかい…ほな、義母おかあさんは?」

「どこへ行ったか知らないわよ!!」

「分かった…(急に恐ろしい声に変わる)あのヤロウ…逃げたな…」

「逃げたって?」


アタシの問いに対して、竹宮たけみやは恐ろしい声で答えた。


「ふたりともだ!!おじょうちゃんのおとーさんは…オレのレコをドロボーしたんや!!」


えっ?


おとーさんが竹宮たけみやレコをドロボーしたって?


竹宮たけみやが言うた言葉を聞いたアタシは、ひどくおびえた。


アタシは、竹宮たけみやに義母のことをたずねた。


「それじゃあ、義母おかあさんは?」


竹宮たけみやは、怒った声でアタシに言うた。


「しゅうかは、オレの赤ん坊を殺した…」

「えっ?」

「おじょうちゃんの義理のきょうだいの赤ん坊の…ホンマの父親は…オレや。」

「ウソ…」

「ホンマだから言うた。」

「それじゃあ、ギンゾウは?」

「あのヤロウは、しゅうかをドロボーした…ギンゾウは他にも田嶋うちのくみ構成員きょうだいたち数人を殺した…だから怒っとんや…」


そうだったのね…


ベンチから立ち上がった竹宮たけみやは、アタシにこう言うた。


「おじょうちゃん、暗くならないうちに早く帰れよ…」


その後、竹宮たけみやは公園から出発した。


アタシは、だまって竹宮たけみやの背中を見送った。


ところ変わって、家の洗面所にて…


時は、夜9時前であった。


アタシは、帰宅してから2時間後に気分が悪くなった。


(うう…グハッ…ゲホゲホゲホゲホ…)


この時、アタシは大量に吐血したと同時に激しくせき込んだ。


その後、アタシは蛇口をひねって水を出した。


流しに付着したトシャブツを水で流している間も、アタシは口から血を吐いた。


ゲホゲホ…ゲホゲホ…


苦しい…


何なのよ…


そんな時であった。


(カタカタカタカタ…グラグラグラグラグラグラグラグラグラグラグラグラ…グラグラグラグラグラグラグラグラグラ…)


この時、震度4に相当するやや強い地震が発生した。


ここ数日の間に、マグニチュード5・0前後の地震が東北地方でヒンパンに発生していた。


アタシの気持ちは、ひどく動揺した。


何なの…


一体なにがあったのよ…


こわい…


ものすごくこわい…

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