プーチン暗殺ファンド
プーチンを殺害した者に報奨金を与える。
誰が実行者でも構わないが、プーチンの側にいる人物で、かつプーチンを暗殺する事が可能な者が対象となるだろう。
実行者が複数である場合は、報奨金は均等に分配される。
また内密に実行することができず、警察機構や司法などが関わってしまった場合、その関係者も報奨を受け取る対象者となる。
(例:現場の証拠を隠滅した捜査員、不起訴処分にした検事、無罪判決を出した判事、等)
可能であるなら、自殺や事故死を偽装できるのが望ましいが、例2にような実行犯が特定できない毒殺のようなケースでも構わない。
例1:テラスからの転落死
寝所のプーチンを予めに飲ませた睡眠薬や、スタンガンなどで動きを奪いし、高所から落として転落死させる。
この場合の対象者はメイドや執事、邸宅に出入りする業者など。
証明には落下したプーチンの姿を写真に収めれば良い。
(死亡する以前の、スタンガンをくらって動けなくなっているプーチンの姿もあれば尚、良い)
証明の為のデータはクラウドなどのネット上に保存するのではなく、マイクロSDカードなどで隠し持ち、プーチン死亡が報じられた時、当方が出張所を用意するので、できればロシアから出国し、そこに写真データを直接持ち込んでの証明が望ましい。
(殺害完遂の後に別途指示する)
例2:食事に毒を仕込んでの毒殺
毒を入手した、という何らかの証拠があり、かつ該当人物がプーチンの側で行動できる人物であるという事が証明されたなら、かつ他に「自分が毒殺したのだ」という申請者がいなければ、支払い条件を満たすものとする。
このケースの場合も、特殊な溶液などによって毒を物理的に消し去ったり、または何の毒であるか特定できないように計らった捜査官や科学捜査員等も、支払い対象として申請が可能。
例3:自殺を偽装するケース
党幹部などの政治関係者で、プーチンを射殺した後に、自殺が偽装できる者が対象となる。
「大統領はいきなり自殺した」と証言してくれる同席者にも報奨金の分配権が与えられ、例2と同様に、「確かに自殺である」という捜査リポートを作成した捜査員、不起訴処分にした検事、起訴された場合、無罪判決を言い渡した判事なども同様に報奨金受け取りの対象となる。
このプロジェクトをプーチンが知ったなら、防犯カメラを増設し、守衛も増員するだろう。
その際は、守衛ら全員が報奨金受け取りに最も近い人物となる。
また防犯カメラを意図的にオフにした者、実行の映像が映っていた場合、そのデータを消去、または差し替えた者なども報奨金受け取りの有力な対象者となる。
また殺害の際に、殴打痕や裂傷などが残った場合、「それは以前からあったものだ」と診断した医師や、ルミノール反応などが出ないように証拠を隠滅した検死官なども同様である。
またその立場の者が自発的に行っても構わないし、その旨を上司に持ち掛けても構わない。(当然、報奨金は両者が対象となる)
逆に、上の立場の者が彼らに促しても構わない。
悪しき指導者・プーチンにはもう安楽な時はなくなる。
常に「食事に毒が入っているのではないか?」「寝首をかかれるのではないか?」「部下が銃口を向けるのではないか?」と怯えながら生きていかねばならない。
ウクライナの人々が「いつ、自分の頭上に砲弾が落ちるか」という、その同じ不安と恐怖を味わってもらう。
もうテラスの縁には立てず、食事を落ち着いて味わう事もできなくなる。
ノイローゼに追い込まれたプーチンが、核のボタンに手をかけたなら、その時は自殺や事故死を偽装する、などというまどろっこしい手段は必要なく、即時、射殺すれば良い。
その人物は第三次世界大戦・核戦争を食い止めたヒーローとして世界から称賛され、かつ莫大な報奨金も手にできるだろう。
このプロジェクトには、当然、人権派から非難の声が上がった。
「たとえ独裁者であっても人権はある。命を奪うのは非人道的である」と。
それに対するプロジェクトの催行者・ミスターMの回答は、以下のようなものだった。
「プーチンの指示で、戦争が起こり、数千・数万の命が失われている。プーチン一人の命を奪う事で、数千・数万の命が救われるなら、割りに合っている。この簡単な計算が判らないなら、小学生から算数の勉強をやり直すべきだ」
非難する声も多くあったが、擁護する声の大きさが、それを上回った。
曰く
「そう主張するやつらは、『自分は人権に配慮し、人命を尊重する人間だ』と、周りからそう見られたいいい子ちゃんになりたいだけだ」
「プーチンは、海外に逃亡した元スパイに暗殺者を放ち、放射性物質などを用いて殺している。おそらく表に出ていない殺害や粛清もあるだろう。本来、司法の手にかかればプーチンは死刑だが、大統領という立場がそれを阻んでいる。ならば司法を介さない死刑を執行するべきだ」
等々。
ファンドの当初の達成額は5千万米ドルだったが、それをあっという間に超え、期限半ばで、すでに1億米ドルに達した。
実に小国の国家予算並みだ。
このファンドへは世界中のあらゆる国から投資が行われ、プロジェクトへの参加人数は、世界人口の5%ほどにまで達した。
スペースZのCEOや、世界的な大富豪ら、有名なミュージシャンや映画俳優等、多数の著名人も「ファンドに投資した」と公言した。
ある者は「もっと平和的に」と、『ロシア兵・投降ファンド』を起ち上げ、それに倣う形で国連主導でそれと同様のファンドが即、準備された。
戦闘を放棄し投降したロシア兵に報償金を支払う、というものだ。
ウクライナ政府や軍がこの仕組みに応じ、SNSや戦地でのビラ・拡声器などでロシア兵に呼びかけられ、多くのロシア兵が投降に応じた。
また、兵器を使う事のないまま、明け渡した者には、その兵器分の報酬が上乗せして支払われた。
多くの戦車や迫撃砲などがウクライナ側に渡り、ウクライナ側に戦局が有利になればなる程、投降するロシア兵の数も増加していった。
確かに、兵器に金を払うよりは、人命も救えてより少ない額であるこのやり方の方が効果的だった。
その報奨金は、元ロシア兵の受け入れ先の第三国やサポート機関にも手渡され、その後の生活の安定と、ロシア本国の家族を連れ出す方策にも力が注がれた。
元来、賄賂が横行しているロシアでは、金さえ渡せば、家族の連れ出しはそう難しくなかった。
これにより、多数のロシア兵が銃を手放し、第三国へ逃れ、ウクライナの戦場は縮小した。
プーチンは対抗措置として、クラウドファンディングサイトへのサイバー攻撃を試みたが、それを見越して世界各国のIT有志が団結してサーバーの守護に当たっていた。
その攻防は、長くは続かなかった。
新たに『ロシアンハッカー懐柔ファンド』が起ち上がったからだ。
元々、ロシア政府に対する忠誠心もなく、IT技術者として民主国家での職と地位、そして豊富な報奨金が提供されるとなると、『ロシア兵・投降ファンド』同様、ほとんどのハッカーが寝返った。
手土産として、ロシア政府高官らの『不都合な行い』を、その全データを世界に暴露してもくれた。
次にどんなファンドが興るのか。
局面の新たな推移はどのようになるのか。
全世界市民が、その話題に湧き立つ最中に、ロシアのニュースで、プーチン死亡が報じられだ。
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