無能力者はいらないと追放された俺、配信を始めました。「神の使徒」に覚醒し最強になったのでダンジョン配信してたらバズりまくって超人気配信者に!!しかも命を助けた王女様も俺の信者になっているようです
第2話 「追放されたけど仲間が増えたから問題ない……別方向の問題できてない?」
第2話 「追放されたけど仲間が増えたから問題ない……別方向の問題できてない?」
俺がパーティーにいるとき、他のメンバーと仲を深める機会がなかった。
俺が誰かと話しているといつも途中でリーダーに遮られてきたし、リーダーが積極的に俺を孤立させようとしていたからだ。
だから元パーティーメンバーが俺に付いてきてくれるなんて想像もしていなかった。
「あんなに無理やり追放でなんの補填もなし、ってやりすぎだよ。あのリーダーのパーティーで上手くやっていける自信はないって思っちゃって。元々、リーダーとは合わなかったし」
「そうだったんですか……」
「敬語、外していいよ。私もそうするから」
「……分かった」
かしこまった喋り方は苦手だ。
「アリシア、これからよろしく。パーティーメンバーじゃなくて、友達として。また一緒に旅をしよう」
「うん、こちらこそ」
俺が差し出した手をアリシアが握り返してくれる。
アリシアのスキルは便利だから、その気になればもっといいパーティーに入ることはできただろう。それなのに俺を選んでくれた。なら、アリシアに失望されないように、俺は頑張るしかない。
特別な能力なんて一つもないけれど。その覚悟一つで、俺は歩いていくことを決めた。
アリシアが借りている宿の一室にお邪魔させてもらい、今日の寝食はなんとかできた。
アリシアも他の人を泊めるつもりはなく、一室しか借りていなかった。因みにベッドも一つしか置かれていない。
「ど、どうしよう……」
慌てるな俺。今、アリシアは風呂に行っていてここにはいない。帰ってくるまでに対策を考えればいい。
定番としては俺が床で寝ると伝えることだ。だけど、追放された俺を追いかけてパーティーを抜けるほど優しい子が一人だけ床で寝るのを見過ごすだろうか。なにか説得できる言い訳を探さないと……
俺が頭を抱えていると、部屋の扉が開く。振り返ると、そこにはアリシアがいた。
――バスタオルを体に巻き付けただけの状態で。
服に着替えていない。タオルがはだければ素肌が見えるような恰好。
「いや、アリシア……さん……?」
「どうかしたの? なにか変なことでもあった?」
「流石に元パーティーメンバーとはいえ、そんな危ない恰好するのはおかしいと思うんですけど……」
「敬語は外していいって言ってるのに」
「今ツッコむのはそこじゃなくない!?」
もはや敬語がどうとかどうでもいい。俺はこの場をどう収めればいいのか必死になって頭を回す。すると、アリシアが面白そうに噴き出す。
「あっはははは! やっぱり面白い反応してくれるなぁ。ボクはとっても嬉しいよ」
「…………へ?」
声も顔も表情も。完全にアリシアだったけれど、違和感があった。アリシアが「ボク」と言っているのを聞いたことはない。
「ボクだよ、ボク。神様だよ。ようやく現世の土地を歩けるよ」
「え、アリシアが神様……? ってことは俺と友達になってくれたのも……」
「違うよ。この身体は確かにアリシアのものだ。当然、キミと友達になったのもね」
「じゃあ、なんで神様が?」
「言い方を考えなければ、『乗っ取り』ってやつかな?」
「駄目じゃねえか!?」
勝手に人の身体を乗っ取るなよ。常識的に考えて。あれ、神に人間の常識って通用しないのか?
「てことは俺も乗っ取られるのか……?」
「キミや……いや、キミは無理だね。できたらもうやってるよ。あと、多分勘違いされてると思うんだけど、一応アリシア本人には許可を取ってるからね?」
「許可?」
「ボクはキミ以外にも声をかけることはできる。それでアリシアに話しかけたんだ。ボクも久しぶりに外の世界を歩いてみたいってね。アリシアはそれを受け入れてくれた上で、このサプライズを提案してきたんだ。面白そうだからボクも乗っちゃった」
「そういうことかよ……」
なんで俺には乗っ取りが効かないのかは分からないが、多分乗っ取りには制限か条件か、どちらかがあるのだろう。
なんにせよ、アリシアの意志を無視して身体や意識を乗っ取っているのではなくて良かった。
「ボクは結構楽しんだし、そろそろアリシアに代わるよ。じゃあまた、テレパシーで話そう」
「俺の脳内に話しかけるやつ、テレパシーだったんだ……」
神様はそれだけ言い残すと、アリシアの肉体が硬直する。その後。
「自分の身体が自分のものじゃないってなんだか不思議な感じ~。楽しかった!」
アリシアが心から楽しそうに笑顔を浮かべた。眩しいくらいの笑顔を見せてくれるのは俺も嬉しくなる。
「楽しかったなら良かったけど、もう二度とやらないでほしいかな……」
ニコニコしてるアリシアに強く怒れない。
「ところで、ベッド一つしかないけど、どうしよっか」
――忘れてたあああああああ!
「……一緒に、寝る?」
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