引きこもり戦記

大道寺司

第1話

「さーて、今日もレスバするンゴ」


 引きこもりニートワイ、PCの電源を入れる。

 しかし、PC爆発。


「ンゴ!?」


 ニートワイの引きこもり戦記は幕を閉じたかに思えた。


「ここは......?」


 目を覚ますと、目の前に王様が座っていた。


「では、勇者よ。魔王を倒し、世界を救うのだ!」


 なるほど。

 外の世界では(多分)ありえない西洋風の城のような建物の中、ゲームとかアニメでよく見る感じの王様風の男。

 そして引きこもりニートワイを勇者とか言っているこの状況......

 間違いない! ワイ、異世界に転生す。

 しかし、魔王倒しに行くのとか面倒くさいンゴw


「嫌ンゴ......」


「何!?」


「今はまだ時期尚早ンゴ......入念な準備をした方が良いンゴ」


「何を言っている! ちんたらしていたら我が国が滅ぼされてしまうだろ! ついこの前もこの周辺最強の軍事国家タリーミリが滅ぼされたばかりなんだぞ!」


「そのタリなんとかの滅亡に焦るワイらを叩くのが魔王の策略ンゴ......わざわざ敵の策に乗る必要はないンゴ......」


「ぐぬぬ」


 だんだんイラついてくる王様。

 王様レスバ弱々ンゴねぇwww


 勝ち誇るワイを他所に一人の男が入ってきた。


「伝令! たった今、我が国の隣国、モーツコクが魔王軍に滅ぼされました」


 王様が仰々しく驚く。


「何だと!? 今まさに魔王軍が隣国に? モーツコクは我が国の穀物の輸入先......仮にこのまま魔王軍が撤退したとしても、水源に乏しく穀物の食料自給率1桁の我が国はまともに食っていけん! 勇者よ!! さっさと魔王を倒しに行け!!!」


「しょく......? よく分からんが、仲間が要るンゴ。軍隊に一人で挑むのは飛んで火に入る穀潰しンゴ」


「ええい! さっきからンゴンゴうるさい奴め! そうやって言い訳ばかりして、魔王と戦うのが怖いのか?」


「ななな、何でそういうことになるンゴか!? ワイは勝つための策練ってるだけンゴ!」


「黙れ! とっとと戦いに行けぇ!」


 王様はワイを蹴飛ばそうとしてくる。

 まずい。登校すら満足にしてなかったワイがこの攻撃を避けられるわけが無いンゴ......


「ンゴ......ンゴゴゴゴ!」


 その時、不思議なことが起こった。


「ぐわぁぁぁ!!!」


 王様が苦しんでいる。

 その姿はだんだん変化して、魔王っぽくなった。


「ンゴ?」


「まさか、私が魔王だと気付いていたとは......」


 よく分からんがいい感じにことが運んでるンゴ

 このまま押し切るンゴ!


「ちょろいンゴ。そんなレスバ力じゃワイは騙せないンゴw」


「ククッ。だが、私は真の魔王ではない」


「ンゴ!?」


「真の魔王は我が息子......既に世代交代済みという訳だ。先程、モーツコクを滅ぼしたのが息子だ。もうすぐこちらに来ることになっている。挟み撃ちは出来なかったが、この国も時期に終わりだ!」


「勇者様どうしましょう?」


 伝令の人がワイを頼ってくる。


「引きこもるンゴ。あとは上手いことやって欲しいンゴ」


「分かりました」


 その後、ワイは城の空き部屋で引きこもり生活を開始。

 国の兵士たちは籠城作戦で何とか魔王軍を撤退させたらしいンゴ。


 こうして、ワイの引きこもり戦記は新たな幕を上げたンゴ。

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引きこもり戦記 大道寺司 @kzr_

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