パラレルワールド

時雨はる

プロローグ~パラレルワールド~

 「好きな食べ物は?」

「急にどうしたんですか、博士」

「いや、ふと気になって。」

 私はついため息をついてしまう。いつものこれだ。急にわけのわからないことを言い出すのだ。まぁ、今に始まったわけじゃないし、適当に答えればいいか。その前に、

「えっと…食べ物って何ですか?」

「なるほど」

何が?

「どうもありがとう」

だから何が?

私はついため息をついてしまう。


「ふぅ」

自室に戻って椅子に座る。

「あいつもわからないのか…」

これまでにいろんな人に同じ質問をしてきた。

「好きな食べ物は?」と。

結果はどれも同じ。「食べ物って何?」だ。

「この世界はパラレルワールドである。」という仮説は正しいようだ。

「ふふふ…」

つい笑みがこぼれてしまう。

「本当にパラレルワールドが存在するとは…」

元の世界に戻ったら忙しくなりそうだ。まぁ、そもそも元の世界に戻る方法はわからないけれど。

「それにしてもここはすごい世界だな…」

橙色の肌をしている人間がいるとは。ほかにも元の世界ではありえないことがたくさんある。いつかノートにまとめるべきだろう。

「明日は野外調査にでも行こうか…」


 「パラレルワールド」に来てしまった博士のこの世界の話。

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パラレルワールド 時雨はる @ShigureHaru

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