おうお先生、蒼くんに会いに行く。
神逢坂鞠帆(かみをさか・まりほ)
第1話
結婚の申し込みをしたら、どこかに電話をかけられた。
ちびっこ
「わあ、立て看板だらけ。カラフルだなあ…」
「京都市は、これを撤去しようと躍起になっているらしいよ」
「まあ、なんてこと!」
憤慨していると、某有名な遊園地の某お城にもひけをとらないキラッキラの時計台がお出迎え。
「う、ま、まぶしい…。浪人生には、まぶしすぎる。目が焼かれる…」
前方から笑い声が聞こえる。
「私も高校生の時に、ここのオープン模試を受けに来たんだ。数学の偏差値がなんと一桁だったのだよ」
私は、考える。曲がりなりにも、浪人生である。
「え、点数でなくて…?」
「へ、ん、さ、ち」
噛み締めるように言う。
「はあ、日本一の美大を出たお方なのに…」
「模試の結果が良かったら、私は日本画家にはなっていないさ」
そうか。それで良かったのか。
そうして、医学部キャンパスの一室に到着。
「こちら、
道理である。髪の毛が赤っぽくて、瞳の色は蒼。どう見ても、親子である。そうして、自分の勘違い及び
「どうしたの」
「馬鹿をやったの…」
地獄の底から響いたのかと思えるような低音だった。
「うんと…。さっきのは、なし! なし! なーし! ってちゃんと言えば、わかってくれると思うよ?」
「ムリ。だって、黄檗先生だもん…」
額にてのひらを強く押さえつける。ビーム出ろ。ビーム。愚かな娘を焼き尽くせ。
「あの。彼女は何と言ったのですか」
居たたまれなくて、声をかける。
「ええと」俯き、あごに手を当てる。「蜜くんの母親になりたいので、結婚してほしいと」
ちらりとこちらを窺う。
顔に火がついたのかと思った。
「ああ、なんてカワイソウ…」
眼鏡を外して、鼻が落ちんばかりに手で顔をこする。
「あの、大丈夫ですか…?」
眼鏡をかけ直す。
「あなた、顔は良いのに…」
疑問符だらけの顔。片目は義眼だが、顔は整っている。
「あなたも美しい」
息を呑む。
「私を口説いてどうするんですか。彼女を口説いて下さいよ」
「あ、え…?」
私は、耳を手でふさいだ。スポーツマンの悲鳴は、とてもうるさい。
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