言い訳に使われる人

LAYLA

第1話 言い訳に使われるおかん

「ごめん!」

「もう!30分も遅刻ってどういうこと?」

「ちゃんと起きたんだけど、おかんが体調悪そうでさ…。」

苦しい言い訳を試みる。

「そうなの?お母さん大丈夫?」

え?これ信じてもらえてるっぽい?やった!

「いやぁ、いきなり風邪引いたとかでさ、おかゆ作ったり薬用意したりしていたら、時間が無くなってさぁ。」

「そう、そういう事なら仕方ないね。」

本当はただの寝坊なんだけど、なんとか彼女の機嫌を損ねずに済んだ。おかんありがとう!

俺は心の中で感謝した。


映画館に着きチケットを買おうとしたが財布に金がなかった。焦る俺に彼女気付くと俺はまたやってしまう。

「あ、やばい。財布に金が入ってない…。」

「え?なんで?デートって事まさか忘れてた?」

「そんな訳ないじゃん!さっきおかんに薬出そうとしたら家に薬なくて、急いでドラッグストアに買いに行ったんだった!急いで来たから、すっかり忘れてたわ!」

「…。そう言う事なら、ここはとりあえず立て替えておくね。後で返してくれれば良いから。」

「お、おう!サンキュ!」

二度目のおかんを理由の言い訳。今回も難なく?クリア♪おかん最強だな。


映画の後は、彼女が俺の財布事情を覚えていたので、ATMを探しお金を下した。

ちっ、忘れてくれてたらうやむやになったのに、そんなうまくはいかないか…。

レストランでランチをし、ここ最近のお互いの話をした後、いつものようにラブホへ向かう。


香織とは2週間ぶりのデートだから、俺は柄にもなく少し緊張していた。言い訳ばかりしているから、なんか余計に変な感じだ。

キスをして香織が好きな愛撫をする、そして一つになろうとする…が、なんかいつもと違う…あれ?何かジュニアがおかしいぞ…?

「どうしたの、こんな事今までなかったのに。」

「いや、おかんが心配でさ!」

最後のおかんを使った言い訳で俺はマザコン男と認定されて、彼女に振られた。

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