第97話 レベリングは効率的に


 どこまでスピカを強くするか、に対する目標。

 つまりゴールライン。


 ”グリフォンを倒せるくらい”


 これが俺の設定した目標だ。


 ――グリフォン。


 鷲とライオンが合体したような見た目をした大型モンスター。


 その性格はかなり獰猛かつ凶暴であり、この世界では極めて危険なモンスターとされている。


 ダンプリにおいては、中級以上のダンジョンにおいてボスクラスモンスターとしてリポップ。


 レベルに比してステータス値が高いことや強力な技が揃っていることから、初見では苦戦することが多い難敵としても知られていた。


 所謂”中盤の壁”的な相手である。


 ちなみに育成モンスターとしても人気が高く、物語終盤までずっとグリフォンを育てて愛用していたというプレイヤーも多い。


 ぶっちゃけ俺も割と好きなモンスターだったりする。


 ……ま、ドラゴンの方がもっと好きだけどな!


 ドラゴン最高!


 ドラゴン、最高!


 イェイイェイ!


「オマエもドラゴン最高と叫びなさい!!!」


「それでグリフォンを倒すのはわかったけど、スピカちゃんはあと何レベル必要なの?」


「…………あ、うん……だいたい10レベルくらいかな……」


「それでしたら、まずは雑魚モンスターを片っ端から倒していくのがよろしそうね。フレン、スピカちゃんの戦いをしっかり見ておくのですわよ」


「きゅわっ」


 ……あまりにも自然にスルーされた……。


 スルーは傷付くからやめてって言ったのに……。


 酷い……。


 ――まあいいや、とにかくクローディアの言った通り雑魚狩りだ。


 30レベルまで持っていけば、『チェルテラの森』のグリフォンは十分倒せるだろう。


 ただ、


「ちょっと待ってくれ。レベリングを始める前に、ちょっとダンジョンで探し物をしたい」


「……? 探し物って?」


「森の中ならどこでも生えてるモノさ。少し探せば見つかるはず――」


 そう言いながら、俺は付近の林の中を散策。

 

 鬱蒼と生い茂る草木をかき分け、日当たりの悪そうな木陰を見つけると――


「あった! これだよこれ!」


「それって……キノコ?」


「きゅーん?」


 スピカも不思議そうに俺が採取した物を見つめる。


 まあ、このキノコは模様が独特だからムリもない。


「”カサマツキノコ”だよ。これを食べると、全ステータスを一定時間引き上げてくれるんだ」


「? でも雑魚を倒すくらいなら、別にスピカちゃんにステータスバフは必要ないんじゃない?」


「ただ倒すだけならね。でもせっかくレベリングに集中するなら、効率を上げたい」


「! ああ、わかりましたわ。ステータスを上げて、雑魚一体辺りを倒す時間を減らそうって考えですわね」


「流石クローディア。そういうこと」


 そう、つまり俺の狙いはTTKタイムトゥキルの上昇。


 当然の話だが、ステータスを上げれば戦闘力が上がる。


 戦闘力が上がれば敵を倒す時間が早まり、より多くの経験値が稼げる。


 無論限度はあるが、バフってのはあるに越したことはないんだ。


 積極的に活用していこう。


「それじゃ、軽く水でゆすいで……はいどうぞ」


「きゅーん!」


パクリ


 スピカはおもむろに”カサマツキノコ”を食べる。


ピコン!



〔〔全ステータスが一時的に上昇〕〕



 彼女の頭上にアイコンが表示。


 ちゃんとバフがかかってくれたようだ。


「よし……それじゃあぼちぼちレベリングといきますか」


 スピカの準備を整え、俺たちは『チェルテラの森』の奥へと進んでいく。


 そしてダンジョンの途中で出会う雑魚モンスターたちを効率的にボコボコにしていくのだった。


=====


次話は明日の12:00に投稿します~。


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