モブなので恋愛よりドラゴン育成したいです ~どハマりしたゲームの世界に転生したので、赤ちゃん白竜を育ててみる。するとヒロインが「かわいい!」と近付いてきて……~
第80話 阻止限界点を……超えた……!?
第80話 阻止限界点を……超えた……!?
「レ……レベル70ぅ!?」
あまりに予想を超えた数値に、俺は愕然とする。
――いやレベル高過ぎだろ!!
せいぜい20~30くらいだと思ってたのに!
スピカの何倍も格上じゃねーか!
マシューのアース・ドラゴンどころの話じゃないぞ!
なんで……!?
どうしてそんな強いドラゴンがビュッセル商会なんかに捕まってたの!?
あれか、性格”めんどくさがり”のせいで抵抗するのもめんどくさかったってか!?
「どうせいつでも逃げ出せるし別にいいや~」みたいな……?
大人しいとか温厚とか通り越して呑気過ぎるだろ……!
「ど……どどど、どうしよう……?」
激しく気が動転する俺。
自分の目の焦点が定まらないのが自分でわかる。
定まらない俺、さだま○し。
フフ、激ウマギャグ。
……ダメだ、脳みそも働いてない。
そ、そうだ、プランDだ。
プランD、プランDの内容は……。
――はい、ありません。
オワタ\(^o^)/
…………万策尽きた。
アカン、本当にこのドラゴン・タートルを止める作戦が思いつかん。
今のスピカじゃ、どうやっても攻撃が通らない。
彼女が得意とするのは〔炎〕属性か〔光〕属性の技。
先天属性が〔水〕であるドラゴン・タートルに〔炎〕の技など論外だし、〔光〕の技も効かないのが実証済み。
いくらなんでもレベルが違い過ぎるのだ。
あまりに絶望的な状況である。
「な、なにかいい方法……グッドアイデアないい方法は…………せや! ディルクたちを生贄にしたろ!」
うん、そうだな!
やっぱりこれが一番!
大人しくディルクとアルベナを生贄に捧げて、尊い犠牲となってもらおう!
元はと言えばこいつらが元凶なんだし、誰も文句言わんやろ!
今なら目撃者もおらへんしな!
完璧や!彡(^)(^)
「スピカ! ディルクたちに〔ホーリー・バレット〕!」
「きゅーん!? きゅきゅーんッ!」
なに言ってるの!? ダメに決まってるでしょ!
とスピカは俺の頭を突っつきながら𠮟責してくれる。
「いたた! 冗談だってスピカ、冗談だから……!」
こんな局面になってもディルクたちを見捨てないなんて、キミは本当の本当に優しい子だね……。
転生前に見まくってたな○Jのせいで穢れた俺の心が、たちまち浄化されるようだよ……。
どうか、いつまでもその心を忘れないでおくれ……。
――なんて思っている内に、いよいよ『ハンプール』の街が近づいてくる。
「ヤッバ……! マジでどうにかしないと……!」
このままだと本当に街へ突っ込んじまうぞ!
あ゛~~~~……え~っと~~~~~~~~っ!!!
必死に頭を回転させ、アイデアを考える俺。
すると――――その時だった。
「――っ、たあああああああ!」
頭上から響く、そんな声。
見上げると、そこには――岩の上から跳躍するクローディア姿が。
彼女は先回りして高い岩の上で待ち伏せし、ドラゴン・タートルの甲羅に飛び移ろうとしたのである。
「クローディア!? 隠れとけって言ったのに……!」
今の彼女とフレンでは、ドラゴン・タートル相手になにができるワケもない。
だから安全な場所に退避すべきだって伝えたのに――!
「――きゃっ! むぐ……っ、着地成功ですわね!」
「きゅわわっ!」
身体を張ったダイブにより、ドラゴン・タートルの大きな甲羅に着地するクローディア。
そんな彼女の頭には、いつものようにフレンがしがみついている。
「ドラゴン・タートルさん! 私の声が聞こえまして!?」
「フシュウウゥゥ……!」
「どうか止まってくださいまし! このままだと街に被害が出てしまいますの!」
「フシュワアアアァァァッ!」
「お願いだから――お願いだから止まって!」
クローディアの悲痛な叫びが、青空の下に木霊する。
しかし――
「き、来たぞぉ! ドラゴン・タートルだぁ!」
怯える衛兵の声が、そんな彼女の願いすらも掻き消した。
そして遂に――ドラゴン・タートルは『ハンプール』に到達。
最初の家屋を、その大きな足で踏み潰した。
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