第64話 昭和98年(異世界)のビーフペッパーランチ


 さあて皆さん、こんにちは。

 ドラゴン調教師テイマーによるちょっと変わった料理番組、ノエル食堂のお時間です。


 本日は広々とした調教場の中、青空の下でビーフペッパーランチを作ってこうかなんて思います。


 フライパン・食材・火の元さえあればとっても簡単に作れますので、お出かけの日に作ってあげればクソかわいいお子さんが大喜びするはずですよ。


 ではまず”ノッポネギ”を用意しましたら、まな板の上で飯の呼吸・参の型、小口切りにしていきます。


 続いて”カウカウビーフ”の小間切れをボウルに入れまして、塩・胡椒・白ワインを混ぜて馴染ませておきましょう。


 重要な”カウカウビーフ”の量ですけれども、これを見ている皆様どうせ作らないでしょうから適当で結構ですよ。


 それと”デビルニンニク”も入れてあげれば味の深みが出ますが、これはお子さんたちが食べて大丈夫か要相談。


 ビーフを漬け込んでる間に、フライパンに火を入れてオリーブオイルを投入。


 温まったら炊き立ての”ピカピカライス”をフライパンの中央に入れ、漬けておいたビーフもライスを囲むように入れていきます。


 そしたら”ゴールデンコーン”と小口切りにした”ノッポネギ”をライスの上に散らし、さらに"カウカウバター"も乗せちゃいましょう。


 トドメにエバラ焼肉のたれ――はこの世界にございませんので、代わりにグレイビーソースを大さじ一杯。


 あとは親の仇のごとくたっぷりと胡椒をまぶしてあげれば、”カウカウビーフペッパーランチ”の完成。


 こーれはもうね、たまりませんな!


 では名残惜しいですが、本日はお暇の時間となりました。


 明日もよい夢が見られるとよいですね、ハ○太郎。


『この番組は、ご覧のスポンサーの提供で――』




「ノ、ノエルさん!? しっかりしてくださいまし! っていうか”ショウワ”ってなんのことですの!?」


「きゅわ~♪」


 俺の精神状態を心配してか、クローディアが肩を掴んでガタガタと揺さぶってくる。


 対してフレンはビーフペッパーランチの香ばしい匂いに夢中だ。


「まあ細かいことは気にしないでよ。さ、ごはんにしようか」


「いや気になりますけれど!?」


「大丈夫よクローディア。すぐに慣れるわ」


「そうですよ。むしろこれがノエルさんの平常運転なんだなって、安心できるようになります!」


「きゅーん!」


 ロゼ、ソリン、スピカは慣れた様子でそそくさとビーフペッパーランチを小皿に取り分けていく。


 いや~、この実家のような安心感。


「おかしい……おかしいですわ……皆なにかに毒されてますわ……!」


「それじゃ――いただきます!」


 全員揃って手を合わせ、スプーンですくったライスとビーフを口に放り込む。


 すると、


「「「美味しい~~~♡」」」


「きゅーん♡」


「きゅわ~っ♡」


 全員うっとりと顔をとろけさせる。


 まあビーフとライスは黄金の組み合わせだからな。

 そこにバターが加われば間違いなし。


 安心して舌鼓を打てるってもんだ。


「あら……これ……!」


「ベルメール家ご令嬢様のお口には合わないかな?」


「そ、そうは言ってなくてよ! その、なんと言いますか、素朴な庶民の食べ物としては及第点じゃないかしら!」


「そりゃよかった。おかわりもあるからね」


「……頂きます」


 食と会話が弾む俺たち。


 やっぱりこうして何人かで飯を囲むってのは、大事な時間だよな。


 人にとってもドラゴンにとっても。


「きゅわっ、きゅわっ!」


「ああもう、こらフレン! 口の周りがベタベタになってますわよ。拭いて差し上げるからお待ちなさい」


 クローディアは持っていたハンカチで、フレンの口元を甲斐甲斐しく拭いてあげる。


 そんなやり取りを見てると、やっぱり彼女は調教師テイマーに向いてるよな――と思う。




 ピコン!



〔〔”カウカウビーフ”を摂取〕〕


〔〔レベルUP!〕〕


〔〔体力が10上昇〕〕



 俺たちが飯を食べ終える頃、フレンの頭上にそんなアイコンが表示されるのだった。


=====


ちなみに、

今回の本文の元ネタはGe○の炊事場様(G○nの本棚食堂様)、

レシピの元ネタは兼業主夫ケ○のキャンプ飯チャンネル様、

だったりするのは内緒。


(もし怒られたら改変させて頂きます……)


料理系動画ってなんであんな面白いんでしょうね。

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