第2章 モブなので、買い物を楽しもう

第15話 ハーブありますか?


 ”調教師テイマー学科”に進学してから、二ヵ月が経過。


 俺は相変わらず授業を受けて過ごす日常を送っている。


 スピカも日々すくすくと成長。


 生後約二ヵ月ともなると体力スタミナも付いてきて、より活発&長時間遊び回れるようになった。


 子供の成長ってのは早いもの。


 お陰で、今や俺の体力が追い付かない事態に。


 調教場で追い駆けっこしてると、こっちが息切れするようになってきたよ。


 なんとも嬉しい悲鳴だな。


 それと、食欲も徐々に旺盛になってきた。


 育ち盛りで大変結構だが――そろそろ食べ物の種類を変え始める頃合いかもしれない。


 というワケで、


「今日は買い出しに行こうと思います」


「きゅーん!」


「やったわねスピカちゃん! お買い物ですって!」


 テンションを爆上げするスピカとロゼ。


 やはり人もモンスターも買い物は楽しいってことらしい。


 ……ロゼが当たり前のように部屋にいることに関しては、もう突っ込まないぞ。


 どうせ止めても遊びに来るんだから。


「それで、なにを買いに行くの?」


「うん、スピカの食べ物を。そろそろ種類を変えようかと思ってね」


「きゅーん?」


「大丈夫、きっとスピカも気に入ると思うよ」


「! きゅーん♡」


 楽しみー!

 と彼女は宙を飛び回る。


 ――これまで俺は、基礎ステータスに影響する食べ物を中心に彼女へ与えてきた。


 体力、攻撃力、防御力など……。

 人でもモンスターでも重要な数値となる、まさに基礎となる部分。


 そこを補強してきたワケだ。


 けど、スピカは低級ダンジョンなら難なくクリアできる基礎ステータスにまで育ってくれたと思う。


 そろそろ”次のステップ”に入ってもいいだろう。


 ――俺たち三人は、学園の中でお店が立ち並ぶ市場バザールへとやって来る。


 そして青果屋さんへと足を運んだ。


「すいませーん」


「あら、いらっしゃい。なにをお求めかしら?」


「”ハートミント”や”ゴールドバジル”ありますか? ハーブ系を見せてほしいですけど」


「あ……あらあら」


「?」


「ごめんなさいねぇ。ハーブ系は全部売り切れちゃってるのよぉ」

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