わたくしはこの世界ではものすごい賢者だった!!
涼
第1話 こんな日々に終わりが来るなんて…
「うっっぎゃーーーー!!」
「うるっさー…こんなアイロンくらいで騒ぐなよ」
ヘアアイロンを腕にジュ~っと焼き付けられ、私はとんでもない悲鳴をあげる。しかし、そこに佇む5人はへらへら笑っていた。
その場所は、高校の放課後の体育倉庫。窓には黒いカーテンが閉められ、分厚い扉で隔てられたこの密室では、この悲鳴は誰にも届かない。
私、
いつもいつも、私は闘っているのだ。あるほうほうで。
(こいつら…倒すなら、あれだな。いや…あっちか)
私は、小さな頃から本ばかり読み漁っていた。そのどれもが、『魔術』に関する物だった。私は、『魔女』になりたかった。なぜなら、最初に言った通り、ずっと、ずっと、いじめられてきたからだ。『魔法』『魔術』は絶対存在する。そして、いつか、自分が『魔力』を得た時には、いじめて来た相手をその『占術』で“瞬殺”してやるのだ。
そう思うと、私は、ドキドキ出来たし、ワクワク出来た。【いじめられてる人生】とは思えないほど、そんな生活を、私は生き生きと歩んでいくことが出来たのだ。
そんな、ある日のこと、菫はあいつらに洒落にならないいじめに遭わせられた。
放課後、まだ緑が残る校庭の桜の木を愛でながら、菫は帰路に着こうとしていた。幼い頃からずっと丁寧に手入れをしてきた、黒く、長い艶めいている髪の毛。その髪の毛が風になびいた。分厚いメガネに隠された美貌に含まれる瞳が、校門を出ようとした時、その者を捉える。その者は、“ブロロロロロロロ…ッ”とマシンガンのような音を立てて迫ってきた。大型のトラックだった。私は、当たり前に校門の出口で両足を揃え、そのトラックが通り過ぎるのを待った。後ろからくる5人に気付きもせずに…。5人は、ひっそりと抜き足差し足で私の背後に迫っていた。それと同時に、トラックも目前に迫る。
『ポン…ッ』
「あ…っ」 …!
その声は、大型トラックに呑まれ、消され、そして、その小さな体はズタズタになり、その道に転がった―――…。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます