第5話 神

目を開けると、そこは真っ白い空間だった。見渡す限り何もない。広いのか狭いのかわからないが、感覚としてどこまでも広がっているような感じがする。


「なんだここは」


そうつぶやくと、どこからともなく声が聞こえてきた。


「ここは死後の世界だ」


すると、何もなかったはずの目の前に突然黒いもやがかかった輪郭をした、人型の白い物体が浮かび上がった。


「私は神だ」


そう名乗る謎の存在。


「神?」


「そうだ。君は不慮の事故で死んだ。これから来世の人生を言い渡す」


やはり僕は死んだのか。車に撥ねられた記憶はうっすら残っているが、本当に死んだのか定かではなかった。でもこれで確信となってしまった。


「こちらに決める権利はないのか?」


そう問いかけると、


「では、聞こう。もう一度同じ人生をやり直したいか?」


ぶっちゃけそれは嫌だ。あの人生はさっさと終わって欲しかった。嫌なことばかりが続いていたし、退屈していた。


「それは嫌だな」


「わかった。では前回いた世界ではなく、別の世界はどうだ?」


「別の世界?」


「そう。世界というのは、一つだけではない。君のいた地球も宇宙に無数ある世界のたった一つに過ぎない」


「なるほど。じゃあその別の世界ってどんなところなの?」


地球は飽き飽きしていた。違う世界があるというなら、興味がある。ワクワクしながら、神とやらに聞いた。


「どうせなら魔法とか使ってみたいし、魔物を倒す冒険者をやってみたい」


僕はアニメの中でも、そういうファンタジー系のアニメが大好きだった。もしそれが本当にあるのなら、もちろん行ってみたい。


「ふむふむ。あるぞ。ではそういう世界に転生させよう」


「よっしゃ!」


思わずガッツポーズをした。


「ただし、一つ教えておくぞ」


神とやらは、一言付け加えた。

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