彼女がいいわけする理由を絶対に聞き入れない
桜枕
短編
「好きだ。俺と付き合ってくれ。結婚してくれ」
「ダメ。生理的に無理」
これで彼女に振られるのは何回目だろうか。
彼女とは幼稚園の頃から現在、高校を卒業するまでずっと一緒にいる。
思春期特有の気まずさや、恥ずかしさなどを感じることもなく登下校を共にする仲だ。
時には互いの家にお邪魔して宿題をしたり、ゲームをしたり、漫画を読んだり。
ショッピングに付き合うことだってある。
いい雰囲気を狙ったり、何気ない日常の中を狙ったり、シチュエーションや言葉選びにも気をつけて告白してきたつもりだ。
それなのに一度たりとも成功した試しがない。
一度でも成功していれば、俺と彼女は幼馴染ではなく恋人になっているはずなのに、まだ肩書きは変わっていない。
彼女は毎回、好きな男子はいないと教えてくれる。
彼氏の影があるわけでもない。
それなのに俺の告白には応えてくれない。
そんなにも俺を嫌っているなんてさすがに傷つく。でも、俺は諦めない。
絶対に彼女からオッケーをもらい恋人になってみせるんだ。
強く誓っているのに空回りばかりで嫌になる。
高校を卒業すれば俺と彼女は別々の大学に進学することが決まっている。
俺は大学の近くに一人暮らしする予定だから、今までのように気軽に会えなくなってしまうのだ。
「頼むよ。これが最後のチャンスなんだ。俺の彼女になってくれ!」
「だから生理的に無理だって言ってるじゃん」
「そんないいわけばかりしてないで、本音を聞かせてくれよ。本当に俺のことが嫌いなのか? 嫌いな奴と同じ空間で過ごしてたのか?」
「だから! 私とあんたは腹違いの兄妹だって教えられたじゃん! 生理的に無理で合ってるじゃん!」
俺は彼女のいいわけに納得していない。
だから、決めた。
俺は法律を変える。そのために大学へ行くんだ。
この世の理を変えて、俺と彼女が結ばれる未来を作るんだ。
その時には、そんないいわけはさせないからな。
彼女がいいわけする理由を絶対に聞き入れない 桜枕 @sakuramakura
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます