ラッキーナンバー
夏木
ラッキーナンバー
『ラッキーナンバー 7』
出かけるタイミングで、テレビに映った星座占いのその一行が目に入った。
7とは、またベタな。と、思いながら家を出た。
占いを信じているか、と言えば、イイエだ。
実際、たまたま目に入っただけで、毎回チェックなんてしない。
毎回チェックしてる母だって、良い時だけ信じてるくらいだ。
そういうタイプがほとんどだろうけど。
どうせ、その数字も直ぐ忘れる。
でも、今回はあまりにもベタな数字だったからか、その瞬間に思い出した。
「ペア決めって普通、くじ引きじゃね?」
「クジ作るの面倒だし、トランプの方が早い」
そこにはまだ「7」が残っていた。
ラッキー7と言うぐらいだからすぐに取られるかと思ったが、違うらしい。
その7を選ぶ。
全員が引き終わったら、先生がやってきて、名前を書いていく。
たぶん、女子も同じようにしたのだろう。
男女で別れていたのが合流し、ペアが発表される。
大当たりだった。
好きな子と薪拾いだった。
一緒に森の中を歩くって、デートっぽくね? と、浮かれてしまった。
「協力して欲しい事があるの」
だから、頬を赤めて言われた言葉に、俺は内容を聞くことなく、二つ返事で頷いてしまった。
そして、俺は今、満天の星空の下で、彼女の告白を見つめている。
彼女の見つめる先にいるのは俺ではない。
俺のダチだ。
ダチは驚いて、慌てふためいて、それから、頭をぺこりと下げる。
断ったのだろうかと、思ったけど違った。
二人は手を取り合って、笑っていた。
ああ、なんだよ、コレ。
何がラッキーナンバーだ。
俺が彼女とペアにならなきゃ、彼女はダチを呼び出して告白することも無くて、俺が失恋する事も無かったんじゃないか。
テントに戻ろうとする俺の耳に、微かに聞こえた彼女の言葉。
「占いを信じて良かった」
その言葉に誕生日が近い事を知って喜んだ記憶が蘇る。
俺に取ってアンラッキーな数字は、彼女にとってはまさに幸運をもたらす数字だったのだろう。
ラッキーナンバー 夏木 @blue_b_natuki
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます