第27話 刹那の風景5:メイキング対談:音信と後書き3
――<杜若 音信:◇3ケルヴィー(続き) 279頁>
緑 : ようやくケルヴィーの話だね。で、そもそも、なんでこの名前にしたの?
薄 : どうしてというか、それ以前に、刹那の風景のWeb版読んでる人も、相当詳しく読んでる人じゃないとこの名前にピンとこない人はいると思うんだけど。
緑 : 大丈夫。今回、Web版を更新して名前出したから。まあ、だからきっと、最新話(釣り大会の結果:後編)を読んでくれた人は、5巻を見て「ああ」って思うところがあると思うんだけど、登場人物紹介で。思うんだけれども、「ん?」って、実のところなったかも。
薄 : まぁ、ね。人工生命体だからね(笑)。で、名前の話の前に、この人工生命体はなんなのかという話だけど、刹那の風景の中で、こう、一つね、こう、もう二度と使われない設定が一つだけあるなと思ったんだよ。
緑 : 一つだけじゃないと思う。あちこちに使われてない設定がいっぱいあると思うけど。
薄 : 知らないなぁ(苦笑)で、「ああ、この部分はもう本編では使われる見込みはないな」って箇所があって、「じゃぁ、これを利用して人工生命体がいてもいいか。それで、69番目の勇者と絡ませて、で、出会う場所は……」って、5秒くらいで設定は出来ました。この話が5巻に載ったことで、その『使われる見込みがない箇所』がどこかっていうのを、薄々気付く読者もいるのではいかなと思います。どんな存在なのかなっていうのを、薄々気付く人は多いんじゃないかなと思います。答えは伏せますが。
緑 : 驚きだよ。っていうか伏せるんだね。話しちゃうのかと思った。
薄 : まぁ、書籍が打ち切られなかったら、いずれ分るでしょう(笑)。で、なんでこの名前になったのかというと、カイルと関連づけたかったからです。まあ、書籍ではカイルの名前出してないんで、ネタバレになってしまいますが。まぁ、名前を出さなかったのは、切なさが出るかなと思ってのことで、相棒っていっている存材は、疑う余地なくカイルだと皆わかっていると思いますが。
緑 : でも最初はあれだよね。登場人物見たら、え、出てくるの?て思うよね。
薄 : まあ、登場人物一覧、おそらく人物一覧見てないでここを読んでる人の方が多いと思うから、なんともいえないけど。まあ、でもね、68番目の勇者知ってて、ガーディルにいて、ガーデルで魔力残して、で、死んじゃった人って言ったらもう一人しかいないからさ。で、69番目の勇者に会いに来たのが目的だったてきなことも言っていて、こんな人物はもう一人しかいないから、まあ、いいんだけど。
緑 : そうね。
薄 : で、まあ、設定自体は出来上がっていたけれども名前どうしようかと思って、Web版のカイル関連の話を見返していて、この名前を見つけました。Web版を読んでない人用にその詳細は伏せるけれども、カイルって名前をいくつか持っていて、その名前のなかで使いどころのなくって忘れ去られていた名前です。
緑 : 僕は、最初、あれどっかで見た名前だなってなった。
薄 : 自分で作って忘れている人もいるから、読者の中で純粋に覚えていた人がいたら、すごいです(笑)それで、名前を使うのはいいとして、カイルと名前が被っている理由がないといけないよなということで、考えました。
緑 : どんな?
薄 : ケルヴィーって名前を、この人口生命体に名付けたあとに、カイルは花井から体を貰って自由を手に入れるんだけど、そのあとで名前を名乗る時に、偽名を名乗ろうと思ったんだけど、それを考えるのが面倒で、つい、ケルヴィーって名乗ったっていう。
緑 : それひどくない?ひどいよね。自分の相棒の名前名乗るんでしょう?
薄 : そうそう。数千年経ってるからいいかなみたいな。時効、時効みたいな。面倒くせえって言って。
緑 : ひどい。ほんとひどい。マジひどい。
薄 : で、それからずっとケルヴィーに名乗ってたんだけど、ケルヴィーが来て話しするたびに面倒くせえ、面倒くせえと思って、で、次の新しい名前に変えるわけ。
緑 : なるほどね。
薄 : まあ、そんなわけでこの人口生命体はケルヴィーという名前が決まったんだけど、69番目の勇者とここで邂逅して、この後どうなっていくのかなっていうところを、期待していだたけたらなと思います。
緑 : どんな活躍になるか、楽しみにしてください。
薄 : まあでも、その前にこの話で69番目は弱いから、どうにかしなきゃなっていう修行パートがここで始まるわけですが。
緑 : ケルヴィー万能だよね。
薄 : そうそう。色々教えてあげられるっていうことで、69番目が光の魔法を望むんだけど、その流れで、67代目の勇者が死ぬ時の状況がわかって。
緑 : これね、ちょっとね悲しかったね。この4巻からとのイメージが、67番目の勇者に対してのイメージが。
薄 : 67代目ね。67代目の勇者4巻で出てきた時は戦闘狂みたいな。
緑 : そうそうそう。がらりとここで印象が変わるからね。4巻でティーレの話していた人物像とは違ってね。
薄 : しょうがないんだ。勇者周辺のガーディルの人間は、基本的には勇者の内面には興味ないからね。口数の少ない勇者の心情を、積極的に察するなんてことはなかったんだよ。
緑 : ひどいよね。どんな人生を送ったのかなって、読者が気になってくれたらいいよね。
薄 : まぁ、そうなったら嬉しいね。で、ここで痛恨のミスがあって、
薄 : この280ページの後ろから5行目の『他の3本の槍』って書いてあるんだ。
緑 : なんで、槍になっちゃったんだろうね。この前は矢じゃん、全部。
薄 : 矢って書こうとしたのが、槍まで書いちゃったんだろうね。指がね。で、一発変換で槍に変わってさ、でそのまま誰も気づかれないで槍できちゃったんだよ。校正の人も、その後に『投擲槍』ってあるからさきづかなかったか、物語に関わってくる箇所は指摘しないというのがルールであるから、敢えて触れなかったか……。なので、ここの3本の槍じゃなくて、3本の矢です。誤字です。衝撃の事実。
緑 : 一応チェック入れとこう。
薄 : 本当に悲しい。
緑 : いいところなのにね、ちょっと誤字があるっていうのは悲しい。
薄 : なんで、この3本の槍とか言ってんだろうね。どこに槍なんかあったの?ってね。
緑 : うーん、なるよね。
薄 : なっちゃうよね。悲しい。
緑 : あれだよ、あのー、増刷された時に直せばいいよ。
薄 : 増刷なんかされないよ。
緑 : わかんないよ。わかんない。人気出たらされるよ。きっと。3巻の戦闘シーンも間違ってるあるし、直したい。かなしい。
薄 : まあね。悲しい。
緑 : まあ、一応チェック入れといたらいいよ。
薄 : まあ、直さなきゃいけないところチェック入れてるし、付箋張ってるけどね。直す機会があるとは思えないんだよね。
緑 : わかんない、わかんない。はい。気持ち切り替えていこう。
緑 : 67代目の勇者以外にも、勇者の話があるよね。鎧作った勇者とかね。どういうことを思って作ったのかなとかね。なんかこうちょっと気になるなって想像力膨らませてくれたらいいよね。
薄 : まあ、そうだね。勇者みんなが互助会みたいなもんだったのを、死なないように頑張ってっていうのを想像してもらえたら嬉しいかな。力が、代々弱くなっていく。勇者の力が弱くなっていくから勇者の鎧みたいなものを作ったんだよっていうことを、後の方で書いたけど。
緑 : 282ページかな。
薄 : そうだね。でも、それでも、黒よりも強いんだけどね。冒険者と違って悲壮感を感じて欲しいというか。
緑 : うん、確かに。まあ、で話は戻るけど、69番目の勇者はちゃんと強くなる?
薄 : 強くはなるけど、それ以前に、そもそもなんで、69番目の勇者って弱いのかっていうところに、今まで触れてなかったから、その理由をまず説明が必要かなということで286ページになりました。
緑 : うん。
薄 : まあ、何だろう。セツナも弱かったけど、その理由は病身だったからで、じゃぁ69番目っていうのは、全盛期前の体で死んで、それで生まれ変わった時には全盛期の体だったから慣れることができなないっていう、衝撃の事実がここで明かされます。これはまあ、大分前から緑青が決めてます。
緑 : (前世で)成人してなかったっていう話だったんだ。
薄 : で、その69番目の勇者が成人してなかった、つまり全盛時代を迎えてなくて、転生した時に自分の体よりも超強いものを与えられていて、制御しきれないんだよっていうところが、69番目の勇者の不幸なところです。まあこれが、セツナの病気で生まれ変わったっていうのと、対になっているところなんだよね。だから、まあ魔力制御はうまくコントロールできないし、肉体的にもちょっと弱いんだけど、
薄 : 目下、69番目が死なないようにするにはどうしたらいいのかということで、光属性の魔法をケルヴィーさんが教えてあげることになるという。光粒子魔法ね。
緑 : 難しそう。
薄 : もともと転移魔法はできてたから、そこまで難しい話じゃないはずです。あとはさ、この光粒子化しながら武器戦闘ができればいいんだけどね。光属性の魔導師って、実は近接戦闘で強いんだけどね。
緑 : でもどうやって消えてるのに、武器持つのに粒子になっているの?
薄 : 武器自体が、粒子になっている。
緑 : 武器自体を粒子になるの?
薄 : うん、なっているんだよ。身にまとっているものも全部粒子化しているから。
緑 : そうじゃないと、裸になっちゃうもんね。
薄 : で、相手を攻撃する時だけまた実体化してすぐっていうようなことも書いてあって、ヒット&ウェイみたいな戦い方もできる。これを100%から0%みたいな感じでコントロールできるようになれば、圧倒的に近接戦闘が得意な人間になるんだよ。
緑 : えー、無理じゃない?だって運動神経なさそうだもん。
薄 : だから「なるんだよ」っていうのはその勇者の話じゃなくて、光の魔導師っていうのはそういうような素質を持っていて、近接戦闘に向いてるんだよということを言ってるんだけれども。
薄 : ただ光使い自体が少ないのと、魔導士が戦闘で戦うっていうこと自体があんまり認識されていないところもあって、この世界の光の魔導士が近接戦闘をあんまりこなせてないのは、光の魔導師自体あんまり話が出てこないからあれなんだけど、実際こういう戦闘をしている人はいません。
薄 : 近接戦闘できるような人は勇者だけです。なぜなら肉体的に鍛えられていないからです。魔導師はね。
緑 : そもそもあれだよね。例えばこの近接戦闘を69番目の勇者ができるようになってもさ、ティーレが全力で止めそう。運動神経のない勇者様に近接戦闘は無理ですから、おとなしくそこのそこにいて戦ってくださいとか言うと思う。
薄 : 肉体的には、そこらの魔導師よりはあるよ。わかりやすく例えるなら、緑青の魂がプロサッカー選手の体に入りました。さぁ、ゴール量産してねっていわれる感じ。足の長さ違うし、バランス違うし……、なんかもっと言い例えが合った気がする、漫画で。
緑 : なるほど。でも、漫画はわからないよ。
薄 : うーん、気持ち悪い。ああ、この漫画だって思いついた人は教えてください。で、戻るけど、どのみちに肉体鍛えていない魔導師が近接戦闘するなんてことはありえないんだけどね。でも、カイルとかは結構やって、光の魔法で戦っていたんだろうなって思うところはある。
緑 : ちょっと見てみたい。
薄 : まあ、遠くにいたのに、次の瞬間ここに現れて、実体化するのに時間がかからないから、反応する前にきられているといった戦い方になっているんだろうね。
薄 : ただ、カイルのことだから派手な魔法も使いたいだろうからね、斬り付けたあと花火上げそう。69番目の勇者には、無理すぎる話だね。
緑 : まあ、これからの勇者に期待して。
――矢と槍の誤字の件ですが、収録が済んだ後も大分引きずってしまいました。5巻は目立つミスが結構あって、申し訳ありません。冗談で緑青のせいにしましたが、本当はそんなことなく相互でチェックしているのですが。次巻はもっと気を付けます!
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