圧殺し
キザなRye
第1話
「なんでそんなことしたの?」
僕がしたことに対してお母さんが理由を聞いてきた。僕がしたことに対して何か言ってくることはよくあることなので僕も特に気に留めることはなかった。いつも通り自分が思った意見をきちんと伝えた。
「なんでそういう風に思うのか全然分からない」
僕の意見を一方的に全否定された。意見を否定されるというのは僕にとって珍しいことではないが、自分を全否定されたような心地がする。
僕は幼い頃から悪ガキのようにいたずらばかりするような子どもではなかったが、だめなことを時々してしまう子どもだった。多分どの子どもにも起こることだろう。だめなことをしてしまう度に何でそんなことをしてしまったのかを聞かれていた。きちんと自分がどういう経緯でそういう行動をしたのかをありのままで伝えていた。僕が言ったことに対して“どうしたらそういう考え方になるのか分からない”とか“どこで育て方を間違えちゃったんだろう”と僕を否定するような言葉が飛んで来る。
こんな生活を10年くらい続けていると自分を常に否定するようになっていた。それと同時に自分の意見は世間から見ると異質な位置にいるんだと思い、自分の意見を外には出さないように心がけていた。
「言い訳くらいしてみなさい」
バイト先の上司に怒られるときは大抵そう言われる。何もかも自分が悪かったと素直に自分の非を認めてしまうのが少し物足りないらしい。自分の主張を持って刃向かってくれるくらいが良いらしい。それでも僕は自分の意見を持つことは“絶対悪”と認識しているので自らの意見を矛として戦うことは一切しようとしなかった。
さらには自分の意見を持とうとしないので見え方としては優柔不断である。自分でバシッと決めることは自分の意見を持ったも同然なので明確に答えを出すことはない。意識して優柔不断が生まれたのではなくて自然にそうなっていた。
圧殺し キザなRye @yosukew1616
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます