第56話 ティス町での屋台開始
「【自由の翼】宣伝作戦開始するよ~!」
「「「かしこっ~!」」」
よく見えるように敷地の前に設置したテーブルの上にトーモロを山盛りにする。
凄まじい甘い香りが周囲に広がっていく。
今日のトーモロはまた一味違う。
【バターまみれの蒸しトーモロ】からさらに改良を加えた――――【バターまみれ
バターと醤油に加えトーモロ本来の甘さと旨味が合わさった最強の食べ物になった。
「さあ、先に僕達が食べよう!」
セレナはこれから大食いのためにテーブルの前に着いてもらい、僕とミレイちゃん、ライラさんにポンちゃん、メイちゃんにそれぞれトーモロを渡して、一斉に食べ始めた。
「「「「美味い~!」」」」
『昨日より美味いニャ!』
『ママああああ! 大好きいいいい!』
昨晩思ったのは、甘さと旨さはしっかり感じられたけど、やはり……日本人としてしょっぱさが欲しくなった。
そこで少量の醤油を追加することで、程良いしょっぱさが足されて、最強のおやつが完成した。もはやこれだけで満腹になりたくなるくらいだ。
匂いに釣られて大勢の人がこちらにやってきた。
大食いを始めたセレナがパクパク食べており、その隣の看板には名物【たれ焼肉】や【たこ焼き】だけでなく、【特製蒸しトーモロ】の販売が書かれた看板が立っている。
トーモロは一つ小銅貨五枚だが、他の料理との値段の差もあったので、値段表はこのようになった。
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【自由の翼メニュー】
・パン……小銅貨五枚
・焼肉……銅貨五枚
・たれ焼肉……銅貨十枚
・たこ焼き8個……銅貨三枚
┗追加味で銅貨一枚
・うどん……銅貨四枚
・蒸しトーモロ……銅貨一枚
┗6個注文の場合、銅貨五枚
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たこ焼きは細かい味の看板が出ていたり、新しいメニューにうどんがさらに加わったりしている。
蒸しトーモロは五本分注文でもう一本サービスするようにした。
集まった大勢の観客のために、トーモロだけでなく、看板メニューである【たれ焼肉】も宣伝を始める。
食べるのはもちろんセレナ。
トーモロとたれ焼肉を交互に食べるセレナはとても幸せそうな笑みを浮かべた。
匂いに我慢できなくなった人々が次々に屋台にやってくる。
ライラさんの案内で食堂に案内を受けるが、やはり席数が足りない。
敷地にテーブルを並べて、注文を一斉に受ける。
メニューが増えてしまったが、予行練習を行っていたライラさんはミス一つなく注文を受けては、料理を運んでくれた。
多くの町民が満足してくれる結果となった。
さらに大食いをしたセレナに対して、「これからも頑張ってください!」と声を変えながらチップを置いてくれるお客様までいた。
結果的に見世物にしてしまったから、申し訳ないと思ったけど、セレナはものすごく嬉しそうに、食べることで声をかけられたと、チップを嬉しそうに抱きかかえて僕に話してきた。
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