第26話 屋台開店
シーラー街の中央広場から少し離れた場所、人通りがそう多くない場所の空地に、僕達の【自由の翼】の屋台を設置した。
大工屋で見た時よりも、こうして実際開店前の方が立派に感じる。
【簡易収納】をインストールした日からも目的があって毎日コーンラビットを倒してきた。その成果を今日見せられたらいいなと思う。
「では先に店の掃除から始めよう!」
新しいので汚いとかではないが、お店を開く前に掃除というルーティンを作る。
程よく掃除が終わると、各々の持ち場の確認をする。
僕は厨房周りの皿を確認。
ミレイちゃんは洗い場の確認。
ライラさんはカウンター前から食堂への道を確認。
セレナは食堂内部の確認。
ポンちゃんは屋台周りを確認だ。
「「「異常なし~!」」」
『異常なしニャ!』
「よしっ! では、これから屋台【自由の翼】を開店します! 初日ということで、あまりお客様がやってこないかも知れないので、無理はせず、ゆっくりと対応しよう! 後は臨機応変に対応していこう~!」
「「「お~!」」」
『ニャ!』
みんながそれぞれの場所に着いて、開店の始まりだ。
ライラさんが【準備中】という大きめな手作り看板を裏返すと、事前に書いてある商品リストが並ぶ。
---------------------
【自由の翼メニュー】
・パン……小銅貨五枚
・焼肉……銅貨五枚
・たれ焼肉……銅貨十枚
---------------------
今日の献立はコーンラビットの焼肉とパンだ。焼肉は通常版と焼肉のたれ版があり、値段の差はなんと二倍。
この提案はセレナによるものだ。焼肉のたれが沁みた焼肉は衝撃的な旨さで、材料費は全く同じだったとしても高くするべきだと熱く語られてしまった。ついでにポンちゃんも一緒に主張していた。
それともう一つのメニューがパンだ。パンは拳二つ分サイズのコッペパン。ふっくらとしていて異世界のパンの中ではかなり美味しい部類だ。こちらは小銅貨五枚と非常に安価だが、原材料を考えれば、実はこれでも高いくらいで、メインとなる材料【コムギ粉】は銅貨一枚分でパン五十個は作れちゃうのだ。
コッペパンは屋台が完成するまでの間、銀貨一枚でレシピを課金して作れるようにしておいた。今更だけど、【一秒クッキング】の力はものすごいけど、そのレシピの課金額は意外に高い。焼肉の時もただ肉を焼くだけだけど銀貨一枚も必要だった。パンも銀貨一枚で、レシピの中では一番安価だったりする。
他のレシピも無数に存在するがそれを買うにはそれなりにまとまった額を稼がないといけない。
それとコーンラビットの焼肉。
今回、僕が屋台完成まで狩りを急いだ一番の理由は、もちろんレベルを上げるためだけど、その理由となったのがこちら、
---------------------
・一秒クッキング(7GB)
┗《解放》クッキングレシピ
┗《解放》無限調味料
┗《解放》異空間冷蔵庫
---------------------
こちらのアプリは、一秒クッキングとリンクしていて、中に入れた素材を
例えば、異空間冷蔵庫にコーンラビットを入れておいて、目の前の皿に焼肉を念じると焼肉が召喚される仕組みだ。もちろん、【無限調味料】も使える。
さらに異空間冷蔵庫でもう一つ大きな力を手に入れたがそれはまた後程。
そんな感じでここ四週間……十六日間入念に準備を整えて屋台を開けたことが嬉しく思う。
「「いらっしゃいませ~! 屋台【自由の翼】へようこそ~!」」
セレナとミレイちゃんの可愛らしい挨拶が屋台前に響いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます