学生トーク「いいわけ編」

山田 武

学生トーク「いいわけ編」



「いいわけって、どう思う?」


「……お前がすぐにすべきこと、だな」


「そうじゃなくて……って、いつもそんな風に思ってたのかよ」


「? 何を当たり前なことを」


 いつものように、休み時間を使って話を行う少年とその友人。

 少年は音の響きから「言い訳」と判断し、そのように語った。


「いやいやほら、やっぱりこれまでやってきたことにも意味があると思うんだよ!」


「……まあ、続けてみろよ」


「たとえばほら、筋肉とかぐちゃぐちゃの話とかしたとき、お前もいろいろと新しい発見があったじゃないか!」


「…………? ちょっと気になるけど、そのまま続けて」


 言い訳を求めたはずだが、少々ズレているように感じた少年。

 だが、訳を言っているという意味では、間違っていないと話を続けさせる。


「だからさ、いいわけ自体にもちゃんと意味があると思う──」


「……ストップ。確認するけど、お前が今話しているのは「言い訳」なんだよな?」


「? だから言ってるだろ、「言い分け」について──」


「……○ンジャッシュじゃないんだから。すれ違いコントでもしたいのか?」


「いや、何を言って──」


 少年はここで、友人と自分との間に認識の性あることを説明する。

 一瞬、ぽかんとした表情を浮かべたもののすぐに笑いだす友人。


「ハハッ、マジかよ! 本当にそういうことあるのかよ!」


「というか、いいわけって言ったら大半の奴は言い訳だと思うだろう。なんでそこで分ける方の言い分けが出るんだよ」


「おいおい、アンラッキー7みたいなことがあるだろう? お前の常識が、俺に当て嵌まると思わないことだな」


「くっ……って、お前に言われる筋合いはないんだがな」


 先ほど友人が話した通り、ここ最近続いた会話で見解が広まったというのも事実だ。

 たしかに、視野が狭かったと思う……がそれを言われるのは癪だと少年は考える。


 今日も明日も、これからも。

 彼らは語り合いを続ける──いいわけもまた、彼らの見解を深める糧となるだろう。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

学生トーク「いいわけ編」 山田 武 @yahhoo

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ