ガチャに振り回される人たち

クリエイト、クリエイト、クリエイトォ‼



俺は毎日のように黄金を生成している。

素材はシルバースライム化した俺の左手であり、シルバースライムは魔力を使えばほぼ無限に再生し続けているので、文字通り俺の体が黄金となっているのだ。


運命教会が黄金は神の一部だとか、黄金こそが我ら運命教会の装飾だとか言って、教会騎士ホムンクルスが黄金の鎧と剣を装備し始めたりと色々うるさいがそこは割愛。


黄金生成に必要なのは魔力だけ。黄金生成には膨大な量の魔力が必要であり、大量生産は難しいと考えていたが、その問題は簡単に解決した。



そう、7号である。7号はホムンクルス統括個体へと進化しており、全ホムンクルスより魔力を強制的に徴収できる。


このため、7号を通じて魔力が必要な魔法系ホムンクルスに魔力分配していたりしていたのたが、何とかその膨大な魔力を俺も使えないか考えた。


その結果としてホムンクルスとマッドサイエンティストが考えたのは、俺と7号との間で魔力譲渡の契約をすれば良いという、非常に単純で簡単なことだった。



なんでもホムンクルスには魔力タンク、つまりは魔力生産のために製造されることもあるらしい。

ので、ホムンクルスは魔力生産量と貯蔵量が人間に比べて多く、さらに生物間の魔力の移動の際に無駄が少なく、スムーズに魔力を譲渡できるようだ。


俺は早速7号と魔力提供の契約を行なった。このおかげで俺は俺が一生かかっても生み出せない魔力を手に入れたのだ!



そうしてやることは黄金生成。

非常に地味な作業だ。左手をシルバースライム化、分離、黄金化、左手の再生。これを繰り返すだけ。



さて、一体なぜ俺がここまで黄金を生成しているかと言えば、とある作戦のためである。


将来行われる交流戦、またはイベントであるエンジェルフォール。


俺が考案した、黄金を利用した初見殺しの恐ろしいコンボ。この戦術の前にはランカーなんて敵じゃない。


抵抗なんてさせない。一瞬でまとめて吹き飛ばして、俺の物にしてやる。








今日のログインボーナスは、ゲーム確定ガチャコイン。






ガタンッ









R『モグラ叩き』




ゲームの一つ。台の上に空いた幾つかの穴から飛び出るモグラをハンマーでぶっ叩いて得点を稼ぐ遊戯。一番古いモグラ叩きは1975年に開発されたらしい。


日本人はワニやモグラ、太鼓。何でも叩く。

日本人は叩くことが好きなのだろうか。








それはショッピングモール都市の外、未開拓の平原が広がる何もない土地に出現した。


まるで工事現場のような光景が広がっていた。工事現場で見たことのある移動式の白い壁で囲われていたその空間は非常に広大。壁に沿って進んでいると、折りたたみ式の、大型のトラックが何台も通ることができる大きな門にたどり着いた。


その門の手前には『ぶっ潰せ! モグラ叩き!』

と書かれた看板が設置されてある。



俺は門を通り、壁の中に入る。


中は複数の大規模なプレハブが建てられ、その周りにはパイプや鉄骨などの建築資材が積み重ねられている。スコップやショベル、ピッケルなどの手作業に必要な道具も整然と並べられており、そのどれもが丁寧に手入れされている。


工事現場内には大型のタンクローリーやトラック、クレーンといった重機が駐車しており、それらの巨大な機械に俺は圧倒される。



俺は少しだけワクワクしながら工事現場を進んでいく。本当にこの工事現場は大きいな。まるで村だ。




そうして進んでいくと、開けた空間にたどり着いた。


開けた空間には、いかにもと言った穴がいくつもある。そしてその穴の手前には100円ショップで見かけるような、カラフルで安価なおもちゃのハンマーがいくつも置かれていた。



俺はハンマーを手に取る。



なるほど、このハンマーで穴から出てくるモグラを叩くんだな?



そして俺は直感で感じとる。


ここだ!ここにモグラが出てきそうな気がする!


そうして待ち構えていると、何かが出てきた。


フンッ!!




「真剣白刃取り!」


穴から現れたのは、サングラスとヘルメットをつけたモグラ…モグラ?

何というか、俺が写真や動物園で見たことのあるモグラとは別の、モグラ叩きのモグラのようにデフォルメされた、黄色のモグラが現れた。


そしてそのモグラは、俺のハンマーを受け止めたの。



「あっぶな!いきなり何すんねん!謝罪せんかい!」


「え、えぇ…俺はモグラが出たから叩いただけなんだけど」


理不尽。モグラは俺に対して非常に怒っている。俺はただモグラを叩こうとしただけなのに。


「はー、何訳のわからんこと言っとんねん。ほんま。いきなり叩くなんて常識ないであんた」


「いや、モグラ叩きだから…」


「は?さっきから何言っとんねん」


俺は埒が開かないので、工事現場前に設置された看板の前にモグラを案内した。



『ぶっ潰せ!モグラ叩き!』



その看板をモグラは凝視し、そして…




「何勝手にしとんねん!」



モグラは腰につけていたハンマーを全力で投げ、看板は粉々に砕け散った。


え、えぇーっ…


「はぁ…ほんまけったいな名前で排出されたもんや…。こんなん聞いてないで…。いやまぁ、そのおかげでワイだけやなくて、部下も揃って呼ばれたんか?ようわからんわ」



「結局お前は何なんだ?モグラ叩き用のモグラじゃないのか?」



「違うわアホ!まあええ。自己紹介や。ワイは動物兵シリーズ、モグラ工兵隊、通称モグラーズの隊長や!よろしゅうな。さぁ、全員集合や!」



モグラ工兵隊隊長は首にかけられたホイッスルを吹く。


すると工事現場から大量のモグラ兵が殺到してきた。

い、一匹じゃないのか!


「さあ、ワイらをどう使う?退屈せんようになるべくでっかい工事、させてくれや?」





俺はモグラーズに都市の整備事業を任せた。

モグラは俺たち惑星開拓委員会に対し、


「何やこの配管は⁈めちゃくちゃやで!」

「アホちゃうか⁈何やこの道路は⁈ただ適当に引いただけやないか!」

「地下鉄あんのに何で使わんねん!」

「都市の外の道路と村、ちゃんと整備せんかい!」

「ダンジョンの開拓ぅ?治水がなってないで!」


などと激怒され、モグラーズにより都市の整備事業が始まった。


委員会で唯一怒られなかったのは、伊藤忠敬率いる奴らだけであり、あいつらはかなりの高評価だった。








さあ、無料ガチャ!




ガタンッ




UC『コンビニ』


正式名称コンビニエンスストア。日本全国に広く存在し、24時間年中無休で営業を行っている店舗のこと。便利な場所で営業され、日本人にとって身近な存在となっている。


店内にはパンや弁当、揚げ物や菓子などの食料品が豊富に取り揃えられており、また、日用品や生活雑貨も幅広く取り扱っている。


さらにATMも設置され、現金の引き出しや預け入れ、各種決済サービスが利用でき、他にも宅配サービスや荷物の受け取りサービスも提供しており、店員の負担が心配である。










ぷるるるるるるるる。



ん?



どうやら誰かが俺に電話をかけているようだ。



俺は生活魔法を発動し、現実拡張ウィンドウを展開して誰が魔法電話をかけているのか確認する。

うーん、連絡先に登録したどの魔力反応とも一致しないな。



この生活魔法はホムンクルスが開発した魔法の一つ。

俺が展開するシステムウィンドウをモデルにして作成された魔法であり、左手をピースの状態で、意志を込めて振るだけで、現実拡張ウィンドウを展開できる。


この現実拡張ウィンドウは天気の確認やメモ、歩数計などの多くの機能があり、地球でいうスマートフォンと同じようなことができるのだ。

今もアップデートが行われており、この魔法を開発したホムンクルスは大富豪となっている。


俺は電話に出る。


「もしもし」


「あ、急なお電話申し訳ありません。今お時間大丈夫でしょうか」


「あ、はい大丈夫です」


「あ、どうも。本日ガチャから排出されました、ガチャコンビニ一号店の店長を勤めています、熊野です。」


「あー、どうも。今コンビニの捜索中なんですけど、どこにあるかわかりますか?」


「えーと、それでですね…今、宇宙にいるんですよ」


「は?宇宙?」


「はい、今山田様がいらっしゃる星から遠く離れた場所に出現しちゃったんですよ。それで何ですけど、迎えにきてもらうことできませんよね」


「今ちょっと無理かな…そもそも今の俺たちは大気圏越えられないし」


「そうですよねぇ…、どうしましょう」


「どうしよう」







コンビニは運営から酸素や食糧を提供してもらえるし、コンビニといっても小さな宇宙ステーションなので大きめのショッピングモール並みの施設が充実しているので、今すぐに迎えにきてもらえなくてもいいらしい。店員100人、気長に待つらしい。よかったよかった。











その後、伝説の惣菜屋が所有する宇宙駆逐艦がコンビニを訪れ、このコンビニに弁当と惣菜を置かせてもらえるように営業にきたようだ。コンビニ店長の熊野は契約を結んだそうな。






何で惣菜屋が宇宙駆逐艦を持ってるんだよ!!!


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