一つだけでは
あの人魚、首無し曰くアンデッドシャークマーメイドはレーンという名前らしい。
そんなレーンだが、彼女の話を詳しく聞くと剣闘士ルーカスと同じようにガチャや運営に関する知識を持っていなかった。
そういう設定のNPCの中には、首無しのようにガチャに関してある程度知っているやつも居れば、全く知らない奴もいる。
推測だが、SSRユニットだからではないだろうか。今のところ、ガチャについて知っているユニットはSSRの首無しのみ。
この仮説は次のSSRのユニットが排出されれば正しいかどうかある程度判明するだろう。
そうしてまさかのアンデッド化したレーンはせっかく生き返ったのだから歌を歌いたいと言い出した。
まぁ、特に反対する理由もないのでショッピングモールのイベントスペースでライブを行ったのだが、これがもう大盛況。
特に途中で飛び入り参加したアナスタシア王女殿下とのデュエットは盛り上がり方がやばかった。
特に男衆は大きく盛り上がり、ホムンクルスたちは、(いつのまにかあー、うぉー、いぇーいなどの簡単な言葉?を話せるようになっていた)一生懸命応援していた。ライブは客の人数が少ないながらその声援にレーンは満足したらしい。
ところでなんで浮いているの?聞きにくいけど確か浜辺で打ち上げられて死んだはずだよね?
レーンは「知らない、生き返ったらできるようになっていた」と答えた。
首無しに聞くと、「私が調整しました」と答えた。
…一つ分かったことがある。簡易鑑定で知ることのできる情報は少ない。こいつがガチャに指向性を持たせたりネクロマンサーのようなことができるとは書いていなかった。
「6課の戦争屋に比べたら私などまだまだです。彼の前では私の作品などお遊びですから」と答えた。
うわぁ、名前が戦争屋でネクロマンサーって。6課が魔境すぎる。
今日のログインボーナスは『音楽確定コイン』だった。
…脳裏によみがえるはBGM確定コイン。あの時引いたのはラジオ体操だった。音楽はBGMよりも範囲が広いので今まで通り、何ができるのかわからない。
というか、ほぼ何の役にも立たないことが確定している。
まったく、運営は何を考えているんだ?確かログインボーナスは人によって違うとだいぶ前にシステムメッセージに書いてあったはず。
こんなもので戦力差が縮まるとは思えんのだが。
まあ、回すけどね。
ガタンッ
C『馬頭琴』
馬頭琴。正式名称モリンホール。弦が2本の弦楽器であり、モンゴル語で馬の楽器を意味する、モンゴルを代表する楽器だ。
馬の頭を模した竿と、共鳴箱、そして2本の弦で構成される。
弦と弓はウマの毛が使われており、日本においてはスーホの白い馬などで有名だ。
そんな馬頭琴が目の前に出現した。
小学校の国語の教科書にスーホの白い馬という話が載っており、絵としては見たことがあるが、実際に見るのは初めてだな。
俺は弓で弾いてみようとする。
が、うまくいかない。ギギギと嫌な音が鳴る。
ま、まぁ使い方も知らないし、初めてはこんなものだろう。
弾き終えると馬頭琴についた馬の頭が下手くそ!と罵倒してきた。ええ……。
ガラクタ置き場に置いた。
では今日の無料ガチャ。
ガタンッ
お、金色のカプセル!SRだ!
SR 『ワープポイント』
ワープポイント。ゲームなどの世界に設置されており、このワープポイントを使い様々な場所に一瞬で移動することができる。
しかし大抵の場合、ワープできる場所は一度でも訪れた場所のみ。いきなり世界中のどこにも行けるわけではないのだ。
出現したのは、ショッピングモール中央の広場だった。
その広場に突然現れた。
このワープポイントの見た目は地面に台座が設置されてあり、その上を柱のようなものが微動だにせず浮いている。
柱には青いラインが四本走っており、黄色いリングのようなものがいくつかつけられている。柱と台座を覆うようにして青い光がまとわりついている。頂点には青い宝石が置かれていた。
…うーん、使い方がわからない。
今日の鑑定は馬頭琴に使う必要はないしコイツかな。
鑑定!
●とある世界の至るところに設置されていた謎の装置。この装置がなぜ、だれが、どうやって作り出し設置したのか誰も知らない。このワープポイントに触れると一度でも触れたことのあるワープポイントに一瞬で移動できる。
あー、もうわかった。なんとなく今回のオチがわかった。
俺はワープポイントに触れる。ひんやりした触感が伝わってくる。
●現在地 ヤマダショッピングモール
他のワープポイントが未解放なため、現在あなたは使用することができません。頑張ってワープポイントを解放しましょう!
ヤマダショッピングモールって何だよ!
つーか、こいつ以外にワープポイントなんかねぇんだよ!
何が頑張ってだ、頑張ってもどうすることもできねぇよ!
つまり、ガラクタ!しかも移動することができない!
クソッ!
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