KAC第7回『いいわけ』
綾野祐介
第7話 いいわけ
「浩人が居ないんだけど何か聞いてないか?」
「駆け落ちでもしたかな。」
二人ともそんな様子はなかった筈だ。
「別の女と歩いているのを佐々木が見たらしい。」
「俺もそれは聞いたけど。」
「怪しいな。浩人の奴、浮気がバレて圭子をどうにかしたって線はないか?」
「流石に無いだろ。」
噂話は切りがない。
「智也、昨日浩人の部屋に行くって言ってなかったか?」
「そうだったっけ?」
「行ってないのか。」
「行ってないよ。まあ行ったとしても居なかっただろうけどね。」
様子がおかしい事に気が付いた西井賢一は智也を詰問し始めた。何か隠している。
「判ったよ、確かに浩人の部屋には行った。けど居なかったんだ。嘘だと思うなら一緒に行ってみたらいい。」
部屋に着くと鍵の場所を知ってる智也が開けた。
「ほら誰も居ないし何の形跡もないだろ。」
「なら二人は何処に行ったんだ。そうだ携帯だ。」
浩人と圭子の携帯は部屋で鳴った。
「智也、何か知っているんじゃないのか?」
「そんな訳ないって。」
賢一は浩人の携帯でパスワードに誕生日を入れてみたら直ぐに開いた。
「やっばり圭子の他に女がいたみたいだ。この子に聞いてみよう。」
浩人の携帯で電話をしてみたらまた部屋の中で鳴った。
「三人とも?何が起こったんだ?」
「そこのぬいぐるみが三人だよ。」
「何を馬鹿な事を。って、冗談じゃないのか。」
「ない。」
「どういうことだ。」
「理由は判らないがこの部屋で死ぬとふいぐるみになるらしい。浩人は俺が殺った。」
「おまえ、そんなことしていいわけ」
「無いだろうな。でも証拠は遺体も含めて無い。」
「圭子とこの梨沙子って子は?」
「浩人がやったんじゃないか。」
「それで俺は。」
「ここで死んでもらう。」
智也は賢一を殺した。だがぬいぐるみにならない。何故だ?
智也は前回部屋を片付けていた。その時開いてあった本を閉じた。それが原因なのを智也は知らなかった。
KAC第7回『いいわけ』 綾野祐介 @yusuke_ayano
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます