第6話 家事をがんばる聖女様
「アルくんも、お掃除ぐらいできないとダメですよ」
「俺は子どもかよ」
「お掃除できないアルくんは子どもです」
「うっ……」
俺の汚い部屋をトリーシャと一緒に掃除する。
聖女の法衣を脱いで、村娘のワンピースに着替えた。
急にお堅い聖女様からラフな村娘になったから、雰囲気が変わってドキッとした。
「ふう。やっとゴミがまとまりましたね。これを捨てたら終わりです……ひゃあ!」
トリーシャは床に落ちていた酒瓶につまづく。
「おっと!あぶないあぶない」
俺はトリーシャを前から抱き止めた。
大きな胸がむにゅうと、感触で形がわかるほど俺の身体に強く押し当たる。
「わ!ごめん!」
慌ててトリーシャから離れた。
「……大丈夫です。受け止めてくれてありがとうございます」
トリーシャは少し顔を赤くして、顔を伏せた。
「俺、ゴミ捨ててくるね!」
「あ、お願いします……」
俺もつい恥ずかしくなって、慌ててゴミを捨てに外に出た。
すげえ柔らかくて大きかったな。大人になりすぎている。
おいおい。俺は何を考えているんだ……
相手は9歳も年下の幼馴染なのに。
俺はゴミを捨てた後、井戸で顔を洗ってから部屋に戻った。
「遅かったですね。何かあったんですか?」
「ちょっと井戸に寄っていた」
「ふーん……」
「部屋、すごく綺麗になったな」
窓も床もピカピカだし、乱雑に放り投げてあった錬金術の本は整理整頓されている。
キッチンも汚れひとつなくなっていた。
「トリーシャは掃除上手いね」
昔のトリーシャはどっちかと言うと、家事は得意ではなかった。おっちょっこちょいで、よく転んだりお皿を落としたりしていた。
「アルくんのお世話をするために、家事を頑張りました。忙しい錬金術師のアルくんは、家事をする時間もなそうですから」
「すげえ助かるよ」
「でも、もうちょっとアルくんもお掃除できるようになってくださいね」
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