2 友達(勇者)
「ちょっと〜凛ちゃんどこ行ったのっ?って、え?」
どうやらこの子を探しに来たようだ。
さあどうやって説明しようか。
まあ言えることなど大してないが。
とりあえずは……
「私は何も触ってない。何も見てない。何も知らない。ここはどこだろうか。」
無実だけは証明させてもらおう。
まあこんな抱き合ってて何を納得させるのか知らないけど。
「えーと……。なんか、お邪魔しっちゃった?」
「いや全く邪魔なんかではなく、むしろヒーロー的な感じだったりする。ということで助けてくれ?」
もう自分でも何を言っているのかわからない。
しかし助かった。
どうやら安全な子のようだ。
冤罪は怖いもんね。
「本当に俺もよくわからないんだが、突然抱きつかれたと思ったら、寝てしまったんだ。」
「どうしよう…何言ってるのかわからないよう…」
「俺もよく理解してはいない。とりあえず引き取ってもらえるか?間違いを起こしそうで怖い。」
この子、可愛いだけじゃないんだ。
そう、とても柔らかい。
なんかいい匂いもする。
おかしくなりそうだ。
流石にこれ以上母親のヌード姿で堪えるのも限界に近い。
母ごめん。
「そうだね……とりあえず引き取らせてもらいますっ……なんか剥がれないんだけど?力強すぎない?」
「ちょっと苦しい……」
どこにこんなパワーを隠し持っているんだよ…
「私じゃ引き剥がせそうにないから……と言っても、誰かを呼ぶってのもあまり現実的じゃないよね……?」
「本当にその心遣いはありがたいです……」
こんなところ誰かに見られたらひとたまりもないっ
どうにか穏便にっっ
「そうだよね……じゃあ凛が起きるまで、ちょっと待とっか」
「おっけい……」
ではない気がするが……。
「この態勢のまま変だけど、俺の名前は遠藤玲と申します。其方の名は?」
「随分動揺してるね……私の名前はゆい…近藤結衣で、その子は姫乃凛って言います。」
気分を逸らすために話をしてくれるのはありがたい。
っていうかこう見ると変な話だな。
名前を知らない子に抱きつかれて、その上寝ているのを見守るなんて。
警戒心がなさすぎる……こんな可愛いくせして。
少し怒りが湧いてくる玲だった。
「二人は知り合いじゃないの?しかも結構親密な」
「いやいやマジで初対面…のはず。ちょっとこれを見ると断言していいかわからんが」
「だとしたら、不思議なんだよね。百歩譲って抱きついて、眠くて寝ちゃうとして、」
「いや譲ってはいけないと思うぞ。そのラインは守り抜けよ?」
「凛ってすごく静かな子で……それでとっても人見知りな子なんだよね。だから、今の様子がすごく不思議で……」
「そうだな……その話で言うと、今の状況はまるでホラーだ」
「なんでだろう?やっぱり何も知らない?」
「知るかいっこんな可愛い子知り合いにいたら忘れるわけないっ」
「うんうん凛は可愛いもんね。その通りだよ」
「そのおかげで俺は人生の分岐点に立たされてるというね……」
理性を振り払って犯罪を犯してしまう人の気持ちが分かってしまいそう……
分かりたくないなあ……
「まあ、待つ間にしりとりでもしよっか」
「マジで助かります。でも負けませんから」
「ふふっ変なのっ」
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